また、HPVワクチン自体がここ10年ほどの間に進化しており、予防対象のウイルス型が増えたほか、接種回数も当初の3回から2回に減ったことも重要な留意点だ。
ワクチンの接種時期については、引き続き注視していく必要がある。スコットランドの研究では、12~13歳で接種を受けたグループと14歳以降に接種したグループとの間で、結果に明らかな違いが認められた。ワクチンの機序として、接種してから初めて性行為を経験するまでの期間が長いほど予防効果が高まる可能性があるが、まだ確認されてはいない。
HPV感染症の1つに、再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)という非常にまれな病気がある。声帯や気管に腫瘍が繰り返しできて、乳幼児や小児の気道閉塞を引き起こす疾患で、子宮内や分娩時の母子感染が原因だ。RRP治療中の有益な補助療法として、HPVワクチンの適応外接種を行っている施設もある。再発症状のある患者にHPVワクチンを接種することで、再発率の低下や気道を確保するための手術回数の減少など、患者の負担を軽減できることがわかっている。しかし、病気にならないための唯一の手段は、HPV感染前にワクチンを接種することだ。
公衆衛生上の取り組みにもかかわらず、ワクチン接種をめぐっては論争が尽きない。特にHPVワクチンは、性感染症の予防と関連していることから、広く承認されるために越えなければならない障壁が多い。ワクチン接種集団におけるがん予防データを継続的に発表することで、この状況に大きな変化を起こせるかもしれない。
(forbes.com 原文)