ヘルスケア

2022.09.10 14:00

がんの罹患と死亡、「予防可能」なリスク要因が大きく関与

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私たちの大半は、何が健康に良いのか、悪いのかを知っている。いわゆる「健康的な」食生活や十分な睡眠、日焼け止めが一部の病気を防いでくれる可能性があることも、わかっている。

さらに、遺伝的特徴など、自分ではコントロールし得ない多くの要因が関わる病気があることも理解している。だが、自らコントロールできる「習慣」については、どうだろうか?

先ごろ英医学誌ランセットに掲載された「世界の疾病負担研究(GBD)2019年」報告書に基づく分析結果は、「がんと関連疾病の罹患とそれらによる死亡」のリスク要因の多くが、予防可能であることを示している。

研究グループは、各国・地域の人口動態に関するデータなど、アクセス可能な複数のデータベースから収集したデータを分析。2010~19年のがんと関連疾病による「障害調整生存年(DALY、疾病・障害によって寿命から失われた健康な時間)」と「生命損失年数(YLL、寿命と比べ、早死で失われた年数)」などについて調査した。

その結果、世界で2番目に多い死因であるがん(少なくとも、新型コロナウイルスが世界的に流行する前に実施されたこの調査の時点では)について明らかになったのは、喫煙、飲酒、肥満、職業・環境関連リスクが要因のがんによる死亡は400万件以上、DALYは1億年ということだ。がんによる死の44%以上、DALYの42%は、予防可能なリスクに関連していたことになる。

DALYに最も大きく関連していたのは、社会開発の程度を示す社会人口統計指標(SDI)の指数が低い地域では、「喫煙、危険な(感染症対策を行わない)性行為、飲酒」だった。一方、数値が高い地域では、「喫煙、飲酒、肥満」だった。

危険な性行為に関連するがんでは、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が原因となる子宮頸(けい)がん、咽頭がん、肛門直腸がん、B型・C型肝炎への感染が原因となる肝臓がんが多かった。

喫煙が最大のリスク要因

社会開発の程度や性別にかかわらず、がんの罹患とそれによる死亡につながる最大の「予防可能な」リスク要因は依然として、喫煙だった。喫煙が引き起こすがんに特に多いのは、肺、気管支、気道消化管(喉、食道など)のがんとなっている。

すべてのリスク要因を含めると、がんによる死亡とDALYは2010~19年の間にそれぞれ、約20%、約17%増えていた。これに大きな影響を及ぼしたリスク要因として注目すべきは、「代謝リスク」、つまり血糖値の上昇だ。これに伴う2型糖尿病の発症は急増しており、その発症に関連したがんの罹患は、34%増加していた。

がんのリスク要因は、多くが生活習慣に関連していると考えられる。ただ、大気汚染や職業暴露など、外的な因子もある。リスク要因は世界的に増え続けている。がんの罹患・死亡の双方を減らすための的を絞った活動をより良く実施していくことが、世界規模で必要とされている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=出田静

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