経営・戦略

2024.02.13 08:30

日本郵政キャピタル出資の「希望郵便物を代理開封、PDF化」サービスとは


「atena」で体験してほしいこと、今後の可能性・拡張性


インタビュアー:atenaのサービスには、請求書・書類をPDF化、メールでお知らせ、お急ぎ配送などがありますが、今回のキャンペーンで体験してほしいものはありますか?


 
atena 白髭:シンプルに郵便物がデジタルで届く体験をしていただきたいです。外装から中身まで、現物に触ることなく業務を完結させることができます。

例えばハイブリッド型の出社体制をとっている会社では、郵便物が届く日が分かるため、業務を滞りなく進められる点で好評をいただいています。届いた郵便物は依頼から数時間でPDF化していますので、請求書などもスムーズに対応することができます。

また比較的規模の大きい会社では、総務の方への「あの郵便物届いていますか」といった社内問い合わせの工数削減も喜ばれています。atenaを使えば、各担当が各自Web上で確認できます。

一例ですが、月に1000通ほどの請求書を受け取っていた法人では、経理の方が届いた封書を開封し、電子化、稟議、決裁を進めていたそうですが、早期決算への対応もあり、3人がかりで3日間、残業ありで業務を進めていたそうです。それがatena導入後、残業なしになったそうです。

インタビュアー:最後にatenaの今後の可能性や拡張性についても教えてください。

atena 白髭:電子化が進むと同時に郵便物の重要度が上がっていると感じています。それにともまって、早く受け取りたい、紛失したくないといった要望が強まると思います。そこにatenaの貢献ポイントがあると思います。

また、個人ユーザーの場合、ワーケーション(観光地などでの勤務)やアドレスホッパー(多拠点生活者)といった様式が増えるにつれ、atenaのサービスをお使いいだたく機会も増えるでしょう。

他には、海外に在住する方が、ご実家を回収先としてお使いいただいているケースがあります。このケースを拡張すれば「高齢者見守り」サービスとしても提供できる可能性もあると思います。

米国のサービス「インフォームドデリバリー」


日本郵便 酒井:米国では、朝、その日に配達される郵便物の外装の画像をEメールでお知らせする「インフォームドデリバリー」というサービスが広く使われています。日本郵便がこれを実現しようとすると、書状区分機の改修といった機械投資の面などで、まだまだハードルがある状況です。atenaのサービスを上手に展開すれば「インフォームドデリバリー」に近いサービスをお客様に提供することができると考えています。

デジタルとアナログの融合という点では、新しい企画の共創・創出も考えていきたいですね。

1985年に行われた国際科学技術博覧会(つくば万博)で「科学万博ポストカプセル2001」という企画がありました。万博開催期間中に引き受けた手紙を郵便局がお預かりし、21世紀の最初の日である2001年の元旦に配達するという企画です。16年の歳月を経て約300万通の手紙を配達しました。仮に今、この場で未来に向けてEメールを書いて受け取ったとしても、ポストカプセルほどの感動や感慨を得ることは難しいと思います。当時は、手書きの文字が手紙という物理的な形で過去からやってきたわけですから。

Z世代をはじめとしたデジタルネイティブの世代ほど、インスタントカメラやレコードといった物理的な情報伝達手段に価値を見出していると聞きます。デジタルネイティブの世代に向けてもatenaや日本郵便が何を提供できるか、それも考えていきたいですね。

あとがき

MIT研究所の所長だったニコラス・ネグロポンテがビーイングデジタル「ビットの時代」を上梓してから早30年弱。アトム(物質)からビット(情報)への接合点・変換点の開発、進化はまだまだ終わっていないように思える。今後の両者の共創に、さらなる期待が膨らむインタビューであった。




インタビュアー:曽根康司(そね・こうじ)◎キャリアインデックス執行役員。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程EMBAプログラム修了(MBA)。時計商を経て、黎明期のインターネット業界に飛び込む。アマゾンジャパン、ヤフー、キャリアインデックス、EXIDEAを経て、2023年11月に再ジョイン。「焼肉探究集団ヤキニクエスト」メンバーでもあり、全国数百件の焼肉店を食べ歩いている。

文=キャリアインデックス執行役員 広報・IR担当 曽根康司

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