1月9日に学術誌『Scientific Reports』と『npj Microgravity』に掲載されたこの研究では、国際宇宙ステーション(ISS)の無重力環境を模倣した条件下で栽培されたレタスが、細菌に感染しやすいことが示された。
レタスはこれまで、ISSの水耕栽培室で3年以上栽培されており、宇宙飛行士の食料として使用されている。しかし、食中毒が発生することでミッションが頓挫してしまうことを研究者たちは懸念している。
デラウェア大学の研究者たちは、ISSの無重力環境を模倣した条件下でレタスを栽培した。その結果、植物が呼吸するために葉や茎にある気孔は、バクテリアのようなストレス因子を感知すると、通常は植物を守るために閉じることを、研究者たちは発見した。
しかし、微小重力シミュレーションでレタスにバクテリアを加えると、葉物野菜は気孔を閉じる代わりに大きく開くことが判明した。デラウェア大学の植物土壌科学部の卒業生で、2つの論文の主執筆者であるノア・トットラインは、「ストレスと思われるものを与えたにもかかわらず、(レタスの気孔が)開いたままだったことは、本当に予想外だった」と述べている。
研究者チームは最終的に、サルモネラ菌は地球上の一般的な条件下よりも、微小重力の条件下の方が葉の組織に侵入しやすいことを発見した。
「我々は、ISSで現在暮らしている人や、将来的に宇宙ステーションで生活する可能性のある人々のために、宇宙でのリスクを軽減する必要がある」と、デラウェア大学バイオテクノロジー研究所の微生物食品安全学のカリ・クニエル教授は述べている。「私たちは、宇宙で栽培される植物と、ヒトの病原体との相互作用を、よりよく理解する必要がある」と同教授は指摘した。
研究者たちによれば、近い将来により多くの人々が宇宙で生活するようになるが、水耕栽培でレタスを育てることは比較的容易だと考えられている。
「このリスクを減らすためには、殺菌した種子を使用することがひとつの対策として考えられる。しかし、微生物が宇宙の栽培スペースの中にも存在し、植物に付着する可能性もある」とクニエル教授は述べている。
(forbes.com 原文)