また、子どもの頃のおもちゃは大人になった私たちに安心感を与えてくれる。これは特に他者との関係に不安を抱いているときに顕著だ。身近な相手を信頼できないと感じると、愛着不安が生じ、自分を傷つけることのない無生物に安らぎを求める場合があることが研究でわかっている。
さらに、自尊心の低い人にとってはテディベアを抱くことが死に対する不安の軽減につながり、子どもの頃のおもちゃへの愛着が精神的な健康と幸福に重要な役割を果たす可能性も示唆されている。
3. 子ども時代のおもちゃは自意識と結びついている
研究によると、幼少期のおもちゃは自己概念とも密接に結びついている。乳幼児は、自分と母親が別々の存在であることに気づいていない。親と物理的な距離が生まれ始めた時期もまだ、親と自分は別個の存在だという事実を理解しようとしている途中であり、その結果、この過渡期に自意識を幼少期のおもちゃに結びつけるのだという。時が経つにつれて移行対象は、幼少期の思い出、愛する人々、慣れ親しんだ場所、人生における意義深い出来事とも関連づけられるようになる。こうした物品を失うというのは、自分自身や大切な思い出の喪失を象徴し、人生のどの時点においても現実的な悲しみの原因となり得る。だからこそ私たちは大人になっても、こうした思い出の品を大切に守ろうと懸命になるのだろう。
子ども時代のおもちゃは、複雑な大人の人生を歩んでいく私たちの揺るぎない相棒として、安らぎと安心感を与え続けてくれる存在だ。感傷的な価値があるだけでなく、本質的な心理的・感情的欲求を大人になってからも満たしてくれる。どうやら、おもちゃの持ち主に年齢は関係ない。子どもの頃に遊んだぬいぐるみは、過去と現在のギャップを埋め、時の流れを超越した癒やしと絆をもたらすよりどころなのだ。
(forbes.com 原文)