キャリア・教育

2024.01.27 11:00

無職は弱者なのか。 経験者500人に聞いてわかった「離れる」の大切さ

キャリアブレイク研究所代表理事 北野貴大

キャリアブレイクがもたらす価値

——日本ではまだなじみのない「キャリアブレイク」ですが、欧米では一般的だそうですね。まずどんな考え方のことか教えてください。
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一時的に雇用から離れる離職や休職など、キャリアの中にあるブレイク(休憩)期間のことです。これまではこの期間のことを「無職」と呼ばざるを得ませんでしたが、それでは誤解を生むことが多くあると考えています。

例えば「無価値な時間」だとか、「働けなくて困っている人」だとして、「弱者」のラベルが貼られてしまうこともあるでしょう。キャリアブレイクの中身は多様で、いつかは働く気持ちがあっても今は充電期間だと考えている人や、ずっとやりたかったことに取り組む人もいます。「無職」ということばからは見えてこない、それぞれの意図や過ごし方があるのです。

ことばになじみはないものの、実はキャリアブレイクはすでに日本で文化になりつつあります。厚生労働省の「転職者実態調査の概況」(2020年)によると、73.9%の人が離職期間を経てから転職していて、キャリアブレイク期間のある人がマジョリティだったんです。
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もちろんこの中には次の会社に入るまで短期間の休みを取った人もいると思いますが、1カ月以上の期間を取った人は46.3%にのぼりました。多くの人が大なり小なりキャリアブレイクをしているんですね。

——その数字にはとても驚きました。本書の表紙に「500人の離職経験者の本音を聞いてわかったこと」とあります。具体的な内容は著書に書かれてありますが、500人に聞き取る中で北野さんはどんなことを感じましたか。

100人の方がアンケートに答えてくれて、400人には実際に会ってお話を聞きました。なんていうか、出会う人みんな、めちゃくちゃ良い友達になれそうなんですよ。不満を抱えながらその場にとどまっている人もいると思いますが、キャリアブレイクした人って、その違和感に耐え切れずに会社を辞めるとかして、メインストリームから外れてるんですよね。

だから、違和感と主体性と覚悟があるんです。人間として、すごく面白いんですよ。キャリアブレイクを経て、何か大切なことに気が付いた人たちが、何百人という規模で僕の視界に入っています。
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文・写真=小山美砂

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