欧州

2024.01.24 10:30

ウクライナ軍のレオパルト2戦車が「絶滅」の危機 部品不足で修理進まず

ドイツの政党「同盟90・緑の党」のゼバスティアン・シェーファー議員は状況を把握するため、レオパルト2の製造元のドイツ企業、ラインメタルとクラウス・マッファイヴェークマンがリトアニアに設けている整備工場を訪ねた。ここではレオパルト2A6とStrv122の修理が行われている。レオパルト2A4のほうはポーランドで修理されている。シェーファーはシュピーゲル誌に、供与されたレオパルト2A6のうち「ウクライナがまだ使用できているのはごくわずかだろう」と語っている。

レオパルト2の部品は、前線だけでなくこれらの修理拠点でも不足している。ただ、これは1991年のソ連崩壊以降、ドイツの軍事力が衰退したのをつぶさに観察してきた人にとっては、驚くようなことではないだろう。

ドイツ国防省でウクライナ情勢センターを率いるクリスティアン・フロイディンク陸軍少将は、部品を切実に必要とし、自力で戦車を修理したいウクライナはとくに損傷が激しいレオパルト2に関しては部品を取り外してからトラックや列車に積み、ポーランドやリトアニアに送ることが多いと説明している

フロイディンクによれば、ウクライナ側によるこうした「共食い」修理のために、ポーランドやリトアニアの整備工場では、戦場で傷んだ箇所を直すだけでなく、剥ぎ取られた部品の補充もしなくてはならなくなっている。作業は戦車を修理するというより「作り直す」のに近いという。

前線と修理拠点で部品在庫を充実させれば、共食いは減り、修理のペースも上がるはずだ。修理にかかる期間は数カ月ではなく数週間に縮むかもしれない。

ドイツ政府もウクライナ政府も問題は理解している。ドイツ政府がこのほど発表した新たなウクライナ支援パッケージに、レオパルト2A6用の部品が数多く含まれていたのはその証拠だ。

ウクライナ軍は先ごろ、第47旅団に残っていたレオパルト2A6を第21旅団に譲渡させ、第21旅団のStrv122とまとめた。兵站を整理するのが目的とみられる。

一方、オランダとドイツは、新たに14両のレオパルト2A4をウクライナに引き渡し始めている。こちらはおそらく第33旅団に配備されるだろう。

いずれにせよ、より長期的な解決策としてはドイツの産業界による部品の生産が求められる。大量の部品を、持続的に生産していくことが必要だ。

forbes.com 原文

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