ハドスペン・ハウス内にはレストラン「ザ・ボタニカル・ルーム」と「ハドスペン・バー」があり、ファームヤードにはレストラン「ファームヤード・キッチン」と「ガーナー・バー」(セルフサービスのバーで、ビール、サイダー、ワインなどが全て無料)がある。
敷地内には、有機栽培の野菜畑やマッシュルーム・ハウスがあるので、収穫された野菜やキノコは数時間後には調理されて料理として供される。栽培される野菜は350種類を数える。ほかにもパン工房があり、牛肉、ラム肉、鹿肉、ハチミツ、チーズなどは敷地内で調達される。
上の2つのレストランに加えて「ガーデン・カフェ」のいずれの3軒でも、料理は素材を生かして調理している。パンは水分量が多くしっとりしていて、例えばサンドイッチが途轍もなく美味しい。またクロテッドクリームを塗ったスコーンの味は秀逸だ。
ホテルゲスト専用のエリアには、スパトリートメントはもちろん、ヨガスタジオでのヨガセッション、ジムやプールや、ハウスセラーでのハニー・テイスティングなど、メニューは盛りだくさんだ。
お薦めしたいのは英国人がそうであるように、散策したりして自然の中に気が向くままにたゆたい、特に何もせずに都会でたまった毒気を抜くバカンスの過ごし方である。フルに動きたい人にとっても、こなしきれないほどのメニューがあるのが「ザ・ニュート」なのである。
園芸好きの聖地を散策
宿泊施設以外の部分にも簡単に触れておきたい。まず、途轍もない広さと種類を誇る庭園だ。専門知識を持つガーデナーが45人もいて、彼らは観賞用庭園、ウッドランド、食用庭園、育苗担当の4チームに分かれて庭造りに従事している。庭園の散策ルートに従って歩を進めれば、ハドスペン・ハウスが建てられた17世紀から現在にいたるまでの、英国のガーデンデザインの変遷をたどることができる。特に印象深かったのは、約2.7メートルの塀に囲まれたウォールド・ガーデン「パラボラ」で、17世紀の主流だったバロック様式の迷路だ。
この迷路に沿ってリンゴの木が整然と並んでいる一画がある。1690年から1935年まで英国各地で栽培されていた296品目が各2本、合計で600本近いリンゴの木である。さながら生きた植物図鑑のようで実に壮観だ。
ハドスペン・ハウスの庭園は、園芸好きの聖地として知られてきた歴史がある。著名な園芸の専門家たちが管理し、新種の植物をあまた育ててきたのだ。その後、様式はヴィクトリア様式へと移り、今あるデザインになったのは1980年代のことだ。