ラリー・エリソンの理想を追求した「先生」という名のハワイ・ラナイ島のリゾート

米国の大手旅行誌『コンデナスト・トラベラー』が実施した読者投票ランキング「2023年リーダーズ・チョイス・アワード」が発表された。同アワードは、旅行業界で最も歴史が古く、権威のある読者投票として知られており、今年は52万人以上の読者が投票を行い、世界各地の旅行先が選ばれた。

このアワードのなかには「ハワイのベストリゾート部門」というものがあり、その内容を覗くと、ハワイに住む筆者としてはたいへん興味深い結果があった。

ハワイのベストリゾートとして堂々第1位に選ばれたのは、ラナイ島にある「センセイ ラナイ、ア フォーシーズンズ リゾート(Sensei Lanai, A Four Seasons Resort)」だった。ハワイのホテルとしては馴染みが薄いかもかもしれないが、実はここは知る人ぞ知る隠れ家リゾート。同アワードの「世界のベストリゾート部門」でも第5位にランクインされており、総合的にも評価が高い。

面白いのは、このリゾートのオーナーはオラクル・コーポレーション共同設立者のラリー・エリソンだということだ。リゾート名にある「センセイ」とは、日本語の「先生」という言葉に由来する。大の日本文化好きだというエリソンらしいネーミングである。

ロッジを貸し切るプライベートスパには、日本風の湯船も完備。敷地内には温泉もある

ロッジを貸し切るプライベートスパには、日本風の湯船も完備。敷地内には緑に囲まれた露天風呂もある

リゾート名は日本語の「先生」から

では、このリゾートの「センセイ」とはいったい何の先生なのか? それは「ウェルネス=健康」というテーマに特化した内容を教えてくれるのだ。

筆者からすると、資産家になればなるほど健康に関心が高くなるように思っていたが、実はテック界の有名ビリオネアに関して言えば、食生活には無関心な人たちが多い。

ビル・ゲイツはコーラやハンバーガーを好むことで有名だし、ジャック・ドーシーは1日の食事が夕食だけだったり断食を度々実践したりすることで知られている。マーク・ザッカーバーグやイーロン・マスクはビジネスタイムの食事には時間をかけず、こだわりもないと公言している。スティーブ・ジョブズも変わった食生活がたびたび報道されている。

安らぎの空間を提供している客室

安らぎの空間を提供している客室

ただ逆に、投資先としては健康や食の分野は活発だ。投資家としての顔も持つ俳優のレオナルド・ディカプリオは、培養肉を開発する2社のスタートアップ、オランダの「Mosa Meat(モサ・ミート)」、イスラエルの「Aleph Farms(アレフ・ファームズ)」、そして代替肉開発の「Beyond Meat」に出資している。さらに、バイオデータ分析をするヘルスケアソリューソン開発の会社やエナジードリンクやコールドプレスジュース販売会社にも出資している。彼自身も食へのこだわりが強いことでも知られている。

前述の食へのこだわりの薄いビル・ゲイツもBeyond Meatに出資している。ちなみに、ビル・ゲイツはエリソンとも交遊があり、結婚式をラナイ島で開催したのは有名な話。

さて、ラナイ島の話だ。ラリー・エリソンは2012年にラナイ島の土地の98パーセントを取得した際に、この島をサスティナブルな島にすることを公言した。その第一歩として、彼は人間のからだにとってもサスティナブルな島にしようと考えた。そのテーマが健康だったわけだ。

ロビーは開放的で、光に溢れている

ロビーは開放的で、光に溢れている

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文・写真=岩瀬英介

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