サイエンス

2024.01.28 14:00

困難に直面したとき「感情に責任を持つ」ために 心理学者が教える2つの方法

日下部博一
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1. 自分が作り上げているナラティブ(物語)を吟味する

感情はしばしば、情報が不十分あるいは多義的であるときに表面化する。このとき、私たちの心は即座にナラティブ(物語)を作り上げるが、それらは、現実を正確に反映するものとは限らない。

例えば、友人にメッセージを送ったが、なかなか返信が来ないとする。はっきりした情報がないために、あなたの心は空白を仮定で埋めてしまう。怒らせてしまった? 私と話すことに興味がない? 私たちの関係はうまくいっていない?

ここでいう感情に対する責任とは、自分の心の中で作り出されたナラティブの妥当性を常に検証することだ。仮定をそのまま事実として受け入れるのではなく、まずは自分に問いかけよう。「十分な証拠もないのに、友人がどう思っているかを決めつけていないだろうか?」

自分の心が、不十分な情報に基づいてナラティブを作り上げていることを意識するのだ。

自分の想像が、どのように感情的な反応を形成しているか。その点に注意を払うことは、仮定を疑い、別の説明を検討することによって、最初のネガティブな感情を緩和するための鍵となる。例えば、友人の返信が遅いときには、忙しさ、技術的問題、個人の事情といった要因が友人の行動に影響を与えている可能性もあると、意識的に思い出すことで、感情を落ち着かせ、理性的に状況に対処することができる。

2. 身体感覚に注意を向ける

2013年の研究で、研究チームは、さまざまな感情と結びついた身体の部位の「マッピング」を行った。この結果、基本的な感情は、胸の上部の活性化と関連していることが示された。この関係は、呼吸や心拍の増加によるものと考えられる。

この論文では、頭部における感覚の変化も指摘された。これには、表情の変化や脳内のプロセスが影響している可能性がある。こうした結果は、感情が私たちの心の中だけでなく、身体的な実体を伴って存在することを裏づけている。

激しい感情が湧き上がったときには、筋肉の緊張、心拍の増加、浅い呼吸、胃の違和感といった身体感覚に注意を向けよう。これらのサインに気をつけるべき理由は、身体感覚の高まりは感情を増幅させ、思慮に欠けた反射的な反応を引き起こすおそれがあるからだ。

身体的兆候を確認することは、感情が私たちの思考を乗っ取り、反応を支配する前に停止ボタンを押すことに等しい重要な意味をもつ。身体を再調整する時間をとり、刺激と反応のあいだに緩衝地帯を設けよう。

深呼吸、マインドフルネス、身体運動といったテクニックは、身体的興奮を制御し、意図的に身体反応を操作して、昂った感情を最終的に和らげるためのツールとなる。

結論

自分の感情に責任を持つことは、弱さを認めることではない。それはむしろ、感情的知性の証だ。難しい状況に対してどのような反応をとるかという選択は、感情的知性と密接に結びついている。感情に責任を持つことは、困難を乗り越え、他者とのあいだに有意義な関係を築く上で不可欠な要素なのだ。

forbes.com 原文

翻訳=的場知之/ガリレオ

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