サステナビリティー
世界最大級のテクノロジートレードショーというと、デジタルガジェットが多数並んでいる印象があると思うが、パナソニックのブースはそのような印象を払拭するものだった。パナソニックは2年前のCESで「Panasonic GREEN IMPACT」を発表したのだが、その成果を展示ブース全体に反映させていた。キラキラしたプラスチックに溢れた他企業のブースとは一線を画すパナソニックブースには、植物由来の什器や、再生紙を用いた展示パネルも含まれ、サステナビリティへの真摯な姿勢を示していた。そしてなんとなくホッとする優しさに包まれていた。
また、植物由来のセルロースファイバーを高濃度で樹脂に複合する技術「kinari(キナリ)」を展示し、コーヒーのカス、もみ殻などから作るレジンで作るプラスチックに変わる製品デモンストレーションも、デジタルガジェットが並ぶ他企業ブースとは一線を画していた。
シンプルな展示ながらインパクトのあるメッセージを放っていたのは CES 2023で発表していた「マルチシェイプ(MultiShape)」だ。 モーター電子部分を共通化し、用途ごとにアタッチメント変更することにより、従来よりも60%の素材削減を可能にしている。環境のためだけではなく、洗面台で絡み合うコードをスッキリさせるためにもありがたいプロダクトだ。
他企業のような派手さはなくともパナソニックの環境に向けての真摯な取り組みは好感が持てる。テクノロジーの見本市とはいえ、企業の社会的責任を果たす強い姿勢がパナソニックからは強く感じられる。
他にも3Mが緩衝材(プチプチ)をプラスチックから再生紙利用に変えていたり、IoT 標準規格matterに則った製品を出すSmartwingsが自然由来のカーテンをIoT化していたり(日本でいうところのすだれのIoT化という感じ)、今まで以上にテクノロジー見本市は「自然由来」の「再生」プロダクトに溢れていた。
日本のスタートアップinQsも存在感を示していた。CESのベストオブイノベーションを受賞したプロダクトは、見えない光でも発電する物質(無色透明発電素子 SQPV)を用いたガラスを紹介していた。薄い発電フィルムを貼ったガラスは透過性も問題なく、通常のガラスとして使える。しかも太陽光だけではなく、室内の光でも発電可能。 今あるリソースを活用して発電を可能にするガラスがあらゆる場所で採用されるようになれば、私たちは電力にまつわる不安(原発利用、電気代高騰 etc)から少しは解放されるのだろうか、と考えさせられる。
空気から飲料水を作り出す家庭/オフィス用淡水生成器GENESIS SYSTEMS社の 「WaterCube 100ウォーターキューブ」も ”空気”という今あるリソースを活用して飲料水を生み出す。約450リットルの水を毎日生成するので四人家族分を賄うことができるそうだ。大人数の家族やオフィスで利用する際には、WaterCube 100をスタックすることにより生成する水量を増やすことも可能だ。