生成AIを使った興味深いサービスは、ビューティーテック系で初めて基調講演を務めたロレアルの発表でも紹介された。「ビューティー・ジーニアス」という名のサービスは、スマホ上で自分の肌や髪など気になることを入力するとおすすめの対応方法を教えてくれる。基調講演壇上でニコラ・イエロニムスCEO自らがアプリとコミュニケーションのデモンストレーションを行った。
……ただ、気になるのは「Beauty Genius」で検索すると、資生堂のアプリがヒットする。ロレアルの基調講演後にロレアルのサイトで「Beauty Genius」で検索してもヒットしないので、ネーミングを変更して今後リリースされるのではないかと予想する。
スタートアップも生成AIを使ったサービスを紹介していた。ショッピングコマースを対話型で行う韓国の「enstead」、生成AIでウェブマンガの制作を効率化する「onoma.ai」など興味深くスタートアップの生成AI活用を見て回ったが、私が一番気に入ったのはフランスのスタートアップ「Imki」だ。
ファッションデザインの分野で生成AIが人間のデザイナーをサポートするもので、実際にフランスのファッションブランド「The Kooples」と組んで服を作っている。面白いと思うポイントは、縫製工場のレギュレーションをサービスに組み込んでいるので、マスプロダクションにも対応できる点だ。
通常、「The Kooples」はカップル向けの黒を基調とした衣服を販売している。ただ、生成AIが”間違えて” 銀色のジャケットを提案したという。この「思いもよらない遊び」のデザインが「The Kooples」ブランドチームも気に入り実際に制作までに至ったという。人間であれば「The Kooples = 黒」のルールの中でデザインをするところ、生成AIはルールを逸脱して提案をしたので、それが功をなしたと Imkiの説明員は教えてくれた。もちろん人間のデザイナーでもルールを逸脱した提案は可能だ。Imkiはあくまでも人間のデザイナーの提案のバリエーションを増やすことを主軸としている。