宇宙

2024.01.24 14:00

火星の赤道の地下に「厚さ3.7キロの氷」 有人探査の助けになる可能性

火星のメドゥーサフォッサ層(MFF)地下にある氷の分布図。青から赤になるほど氷の厚みが厚い領域を表し、白色は厚さ3000m以上を示している(ESA)

太古の貯水層

これは、火星の赤道付近で発見された水としては過去最大量だが、火星での氷の発見はこれが初めてではない。水の氷は、火星の極冠、赤道付近にある地下氷河や、土壌に含まれるかたちで存在することが知られている。
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ESAの火星探査計画マーズ・エクスプレスとエクソマーズ(ExoMars)のトレース・ガス・オービター(TGO)のプロジェクトサイエンティストを務めるコリン・ウィルソンは「今回の最新分析は、MFFに関するこれまでの理解に異を唱えており、疑問を解くと同時に新たな疑問を浮上させている」と指摘している。「この氷の堆積物は、どれくらい前に形成され、当時の火星はどのような状態だったのだろうか。水の氷であることが確認されれば、この巨大な堆積物によって火星の気候史に関する理解が一変するだろう。太古の貯水層は、有人および無人探査の魅力的な対象となると考えられる」

MFFのエウメニデス・ドルスム地域。最も分厚い氷堆積物があると見られている(Caltech/JPL Global CTX Mosaic of Mars/Smithsonian Institution)

MFFのエウメニデス・ドルスム地域。最も分厚い氷堆積物があると見られている(Caltech/JPL Global CTX Mosaic of Mars/Smithsonian Institution)

数十年間は近づけない

火星の赤道付近にある氷の発見は、有人探査計画にとって興味深いのは確かだが、不都合な点が1つある。大量の塵に埋もれていることだ。「残念なことに、MFFの堆積物は厚さ数百mの塵に覆われているため、少なくとも今後数十年間は近づくことができない」とウィルソンは説明している。「それでも、発見される氷の1つ1つが、火星の水が過去にどこを流れていたか、そして現在はどこで発見される可能性があるかについて、より詳細に状況を把握する助けになる」

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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