「朝型」の人にはネアンデルタール人の遺伝子? 研究結果が示唆

Shutterstock.com

一部の人が「朝型」である理由は、太古の昔に現生人類の祖先と交配したネアンデルタール人など旧人類の遺伝子にある可能性があることが、学術誌Genome Biology and Evolutionに発表された新たな論文で示された。

米国のバンダービルト大学、ペンシルベニア大学などの研究チームは、旧人類と現生人類の「概日リズム」に関する遺伝子に違いがあったことを示す証拠を探した。概日リズムは「概日時計」や「体内時計」とも呼ばれ、体が浴びる光に基づいて覚醒・睡眠サイクルを調整する脳の機能だ。

研究チームによれば、人が朝型かどうかは、概日時計が短いことと関連している。概日時計が短いと、日照時間が長い夏の間、覚醒・睡眠サイクルを光などの外的な合図にすばやく体を合わせられるため、高緯度地域に住んでいた旧人類にとって有益だったとみられる。一方、7万年前にアフリカからユーラシア大陸に初めて移住した現生人類の祖先は、日照と気温の季節変動が大きい高緯度地域に適応しなければならなかった。

研究チームはまず、概日時計に関連するとされる246個から、現生人類と旧人類それぞれに特有の変異を数百個特定。UKバイオバンクの数十万人のデータから、こうした遺伝子変異が覚醒と睡眠のリズムに関連しているかどうかを調べた。結果、現生人類が旧人類から受け継いだ遺伝子変異は「朝型、つまり早起きの傾向を一貫して強める」ことが示された。

研究チームによると、ユーラシア大陸に暮らしていた現生人類の祖先は旧人類と交雑していたため、一部の人類がその体内時計を受け継いだ可能性がある。

現生人類は、後に絶滅したネアンデルタール人やデニソワ人などの旧人類から推定50万~70万年前に分岐し、旧人類とは異なる環境で進化を続けた。論文によると、ネアンデルタール人とデニソワ人は、現生人類がアフリカからユーラシア大陸に移住する前の40万年以上もの間、同大陸に住んでいた。

現生人類がユーラシア大陸に移住したとき、ネアンデルタール人などの旧人類と交雑したことで、新しい環境に適応するための遺伝的変異を獲得した可能性があると、研究チームは指摘している。だが、旧人類から得た変異の多くは現生人類にとって有益なものではなかったため、自然淘汰によって失われたことが、過去の研究から示されている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事