言葉を多く覚える天才犬 数十頭の研究で分かった共通点

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どの犬もそれぞれに賢い。フリスビーをキャッチするのが上手な犬もいれば、においで輸出入禁止品を検知できる犬もいる。また、何十種類ものおもちゃの名前を知っている犬もいる。

語彙力の高い天才犬を研究しているチームがこのたび発表した研究結果では、こうした犬たちの共通点が浮き彫りとなった。研究チームは、自分の愛犬も頭脳明晰だという飼い主に対し、研究への協力を呼び掛けている。

ハンガリーのエトベシュ・ロラーンド大学の研究チームは、物の名前を覚える不思議な能力を持つ犬を世界中探し回った。「ギフテッド・ワード・ラーナー(GWL、言葉を学習する能力を持つという意)」と呼ばれるこうした犬の中には、100種類の犬用おもちゃを知っているものもおり、例えば「サボテンを取ってきて」と言うと、さまざまなおもちゃの中からサボテンの形をしたおもちゃを取ってくる。科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された研究チームの論文には、9カ国41頭のGWL犬が参加した研究結果がまとめられている。

GWLの犬たちは、言語や私たち自身について多くのことを教えてくれる。研究を率いたシャニー・ドロールは電子メールで「私たちの研究は、ヒトの脳でどのように言語が進化・発達したのかを追究し、またヒトと他の哺乳類の脳にどのような共通要素があるのかまで発展させている」と説明した。ドロールは犬を実験対象としてではなく、研究パートナーとして見ている。というのも、「彼らは物の名前を理解しているため、世界をどのように認識しているのか、直接質問することができる」からだ。



ドロールは、犬の認識を探る方法の例を1つ挙げている。「天才犬に対して、いくつかの異なる物を提示し、ボールを持ってくるように言う。選んだものを見ることで、その犬がボールに対して持っている心的イメージがどのようなものなのか、そしてそれが私たちの心的イメージとどのような点で似ているのか、あるいは異なっているのかを把握できる」。犬の研究は、ヒトの研究でもあるのだ。
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翻訳=溝口慈子

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