サイエンス

2023.12.24 14:00

言葉を多く覚える天才犬 数十頭の研究で分かった共通点


研究チームは、データを集めるため、犬の飼い主に協力してもらった。飼い主には、飼っている犬の語彙力をテストし、その様子を撮影したビデオを送るよう依頼。次に、研究者が管理された条件下で犬の能力を調べることができるオンラインの語彙力評価テストを行った。

その後、GWLの犬の飼い主にアンケートを実施した。研究チームのメンバーであるアンドレア・ソメーゼの説明によると、「アンケートでは、犬の生い立ち、犬の飼育としつけに関する経験、犬がおもちゃの名前を覚えるようになった過程について尋ねた」という。GWLの基準を満たした犬は41頭、アンケートに答えた飼い主は35人だった。

天才犬の共通点は何だったのだろうか。研究に参加した犬のうち23頭は、賢さで知られる牧畜犬のボーダーコリーで、さらに4頭はボーダーコリーのミックスだった。だが、物の名前をたくさん覚えられるのはボーダーコリーだけではない。ポメラニアン2頭、ペキニーズ1頭、コーギー1頭、プードル1頭などもいた。これは、さまざまな犬種から天才犬が生まれ得ることを示している。

研究チームは、飼い主の教え方が上手だった可能性も検討したが、大半の飼い主は、犬が遊んでいる間に自然におもちゃの名前を覚えたと説明。中には、愛犬の才能に気づいてから意図的に訓練を始めた飼い主もいた。GWLの犬たちは学習熱心だ。研究開始時、犬たちは平均29個のおもちゃの名前を知っていた。研究チームが研究論文を発表するまでに、16人の飼い主から、飼い犬が100以上のおもちゃの名前を覚えたとの報告があった。

この研究は「ジーニアス・ドッグ・チャレンジ」研究プロジェクトの一環として行われたものだ。同プロジェクトは以前、一握りの天才犬とこれらの犬の新しい言葉を覚える能力に焦点を当てていた。今回の論文では、これまでで最も多いGWLの犬が研究対象となっているが、世界で飼われている犬は推定約9億頭であることを考えると、サンプル数はまだ少ない。研究チームのアダム・ミクロシは「この研究で対象となった犬の数は比較的多く、これらの犬に共通する特徴を特定するのに役立ち、ユニークな能力に対する理解が一歩進んだ」と語った。

これまでに収集されたデータからは、GWLの犬がまれな存在である可能性が示されている。複数の犬を飼っている飼い主によると、他の飼い犬たちは、GWLの犬と同じように遊んだり教えたりしても、物の名前を学習する能力はなかったという。

研究チームはデータを増やすために、もっと多くの天才犬を見つけたいと考えている。もしあなたの愛犬がGWLかもしれないと思ったら、ジーニアス・ドッグ・チャレンジに連絡して、科学のために愛犬の才能を共有してみてはどうだろうか。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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