キャリア

2024.01.03 10:30

プロジェクトマネジメントの極意 「誰が何と言ったら勝ちか」

資料準備に猛進していると、なかなか即答できる人がいません。その上で、さらに聞きます。

「その結論に持ち込むために、会議出席者の誰に何を発言してもらおうと思っていますか?」

ますます答えられる人がいません。

要するに会議に臨む”ゲームプラン”を組んでいないのです。すると会議は、何となく儀式的に議事進行され、的を得ない説明と、反対者による糾弾、その後は決定か先送りかよくわからない空気感が漂う。そんなミーティングになってしまいます。

大切なのは、会議前にしっかり会議内容をシミュレーションし、バイネームで発言者を想定し、ディスカッションのプランを立て、そして結論に導くことです。これが真なるファシリテーションです。単に議事進行したり、発言者を指名する仕事ではありません!

ちなみに、私がいたBCGでは、クライアント役員との重要会議前では、ときにパートナーが複数役員のモノマネを駆使して(かなり上手い!)、ミーティングのゲームプランを確認していました。

5. ダッシュボード

私はあらゆる変革プロジェクトで、こんな"信号”でわかるタスク進捗一覧のダッシュボードを、重要会議の冒頭に出席者に見せます。

どんなに口頭で細かく進捗状況を説明するよりも(多分に言い訳を含む……)、 ダッシュボードを使えば、プロジェクトの中身の状況が青信号なのか、黄信号なのか、はたまた赤信号なのかを視覚的にパッ一瞬で捉えられるのです。

ダッシュボード活用のポイントは2つ。

1.信号の判定は超客観的に
2.会議の主眼は、いかに黄色信号を青信号に戻すか

まず、この信号判定の基準を決めます。事務局が事前に各プロジェクト責任者にヒアリングして、全体スケジュールに対してリカバリー可能な遅れ(イメージ1〜2週間)なら黄、リカバリー不能な深刻な遅れ(イメージ1カ月)なら赤と明確にルールを定めることです。

絶対にやってはならないのが、属人的や感覚的に「〇〇さんも大丈夫と言っているし、特別に青信号にしておこう」という判定をすること。これを許すと途端に根回し、社内政治が始まり、変革の機運が濁ってきます。

2つ目。これこそが実はプロマネの神髄なのですが、黄色信号を青色に戻すことです。事前の計画通りに進行するプロジェクトはありません。必ず遅れます。そして、この遅れの連鎖がプロジェクトの崩壊につながります。黄信号なら、社内で皆で協力し合えば青信号に戻せ、崩壊への連鎖を断ち切ることができます。

前編、後編にわたって、私が日本企業のウィークポイントであると思うプロジェクトマネジメントをいかに抜本的に強化するかについて、私が実際に変革アドバイザリーの中でクライアントの皆さんに習得してもらう5つの武器を、余すところなくお伝えしました。

ぜひ日々の実践を通じ、皆さまのプロマネ力が鍛錬され、大きな変革のうねりが起こることを期待しています!


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文=植野大輔

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