今回は、医師でありスタートアップ投資家である中安杏奈さんによる「医師 × VCが見るヘルスケアトレンド」コーナーから、5月26日の配信記事を掲載します。
トップアスリートの全身管理に比肩!
今年5月、米国高級ジムチェーンEquinox(エキノックス)社が、年会費4万ドル(約600万円)のコンシェルジュヘルスケア事業を開始しました。「Opitmize (最適化)by Equinox」というサービス名で、最適化されたコンディショニングと健康寿命の延長を売りにしています。中身はこうです。まずは心臓、肝臓、腎臓、代謝、免疫など、さまざまな機能を調べる100のバイオマーカーを採血で検査。また、ジムであることの強みを活かした運動機能評価プログラムで心肺機能などの計測をします。その後コンシェルジュがこれらのデータを踏まえて、パーソナルトレーナー、栄養士、睡眠コンサルタント、整体師といった専門家を巻き込み、個別化したプログラムを組んでくれます。
まさにトップアスリートの全身管理に匹敵する内容です。健康管理用スマートリングであるOura Ringも配布されるそうで、継続した日々のモニタリングから得られる情報も加味しながらプログラムが調整されます。
富裕層向け「個別化コンシェルジュ医療」も
最近米国では、医学、バイオテック、フィットネス、栄養、睡眠など、いろいろなサービスを組み合わせた富裕層向けの個別化コンシェルジュ医療が流行っています。例えば、直近では、バイオマーカー検査や全身MRI、医師による健康管理アドバイスなどを含めたプラットフォームを提供するスタートアップSuperpower社が、プレシードラウンドで400万ドル(約6億円)の資金調達を発表しました。金額の高さや物理的なアクセスの悪さなどから、米国の消費者は既存の医療制度への不満をもつ人も少なくありません。その一方で、一定以上の利用料が支払える層にとっては、安心して健康管理をしてもらえることは代えがたい価値です。なかでもEquinoxが発表したプログラムは世界で最も高額だと言われています。さすがにこの値段は高すぎる……と思いきや、すでに20万人が順番待ちで登録しているとのこと。果たしてどこまで広がっていくか、楽しみです。
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