そこで期待されるのが「爆買い」による経済効果であるが、同時に「爆買いは復活するのか」という問いも多くある。今回は中国からの訪日観光客の現状を眺めつつ、アフターコロナでの中国消費者の「爆買い」について考えていきたいと思う。
※本稿は2023年12月時点の状況からみた予測です。
訪日観光のコアは「日本ファン」
2023年を振り返ると非常に多くの出来事があった年だと感じる。特にインバウンド市場は2022年末の中国ゼロコロナ政策の突然の終了による感染拡大から、8月の中国政府による日本への団体旅行取扱解禁、その直後、同月24日には「処理水海洋放出問題」によって大きく揺れた。
10月は国慶節のインバウンドシーズン。日中間のフライトは「満席」などと報じられたが、10月の1カ月間を見ると2019年比で35%程度、11月も34.4%にとどまった。
その後も、フライト数が完全に回復しきれていないこと、東南アジアを主力とした各国の中国観光客呼び込み、訪日観光ビザ取得のハードルなど、多様な要因が重なり合い、回復率は2019年比の35~40%。そして現在に至っている。
こうして書き出すと悲観的な状況に思われるが、いま現在「訪日している中国消費者」に目を向けると明るい兆しも見える。
訪日しているのは20代、30代の若者が多く、個人旅行ビザを取得して来日している。もちろんその条件に見合う収入や資産を有している消費者たちだが、その大部分が「日本ファン」という点は注目に値する。
二次元(アニメ・漫画等)がきっかけという層が多いが、同時に日本の伝統やアート、アクティビティの情報も積極的に吸収しており、トレンドだからというだけではなく自分自身の強い興味によって日本を訪れている消費者が少なくない。
処理水問題に対する態度も「科学的に考えれば大丈夫」や「自分が好きだから行く。他人にとやかく言われる筋合いはない」など、自分自身の判断や価値観を優先する傾向がみられる。
筆者はこうした「中国における日本ファン」がこれからの中国からの訪日観光のカギを握っているのではと推測する。
若者世代の「科学的消費」
現在、訪日観光の主力となっている中国の若者世代。中国では90後や95後などと呼ばれる、新しい価値観を有した消費者たちだ。彼らはこれまでのように、大きな流行を捉えつつもそれに流されず、より自分に合ったものを求めるという世代である。さらにその選択方法はより「科学的」。
例えばスキンケアにおいても、自身の肌の状態を細かく分析し、それに合った機能や成分を特定し、商品を選ぶ傾向が強い。有名ブランドであっても自分に合わない、もしくはその機能や成分の説明に納得できない場合は手を出さないのだ。
ゆえに「メイド・イン・ジャパンだから」という売り方をしていた企業からすると、手ごわく、攻略が難しい消費者層と言える。
同時に新たな流行を中国市場に向けて生み出している世代でもある。2022年ごろから注目されてきた「キャンプ」や「音楽フェス」、「フリーマーケット」、「ロードバイク」などは、いずれも彼らが中心となり、盛り上がってきた新市場である。
結果として2023年のダブルイレブン(独身の日)セールのT-Mallではアウトドア商品が大きな伸びを見せている(星図数据のデータより)。