ユナイテッド航空、乗客データ使いターゲット広告販売を検討中

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ユナイテッド航空は、乗客のデータをターゲット広告(ターゲティング広告)の販売に利用することを検討している。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が、匿名の情報筋の話として報じた。大手企業の間では、保有する膨大な顧客データを収益化する動きが広がっている。

WSJ紙によると、ユナイテッド航空は、乗客が映画やテレビ番組の視聴などに使う機内エンターテインメントシステムや、フライトの予約・チェックインを行うアプリに広告を掲載する可能性がある。ただ、正式決定には至っておらず、見送る可能性もあるという。

個人情報保護法に準拠し、乗客は自分のデータが利用されることを拒否できるようになる見通し。ユナイテッド航空はフォーブスの取材に対し、コメントを控えた。

ターゲット広告を新たな収益源として模索する動きは、広告業界以外の企業でも広がっている。アップルは2021年、プライバシー方針を変更し、SNS企業が他社製アプリからiPhoneユーザーのデータを収集することをユーザー側が拒否できるようにした。これにより、スナップやメタなどのSNS企業の収入は大きく減少。一方、すでに自社の顧客情報を大量に保有し、他社サービスからのデータ収集に頼る必要のない企業にとっては有利な状況となった。

ユナイテッド航空が検討しているものと似た広告販売を実施した企業としては、大手ホテルチェーンのマリオットがある。同社は2022年、ヤフーと提携し、客室内のテレビに掲出するターゲット広告を販売すると発表した。WSJ紙によると、この他にウォルマート、ウーバー、インスタカート、ホームデポも消費者データを利用した広告販売を行っている。

航空業界はこれまでにも、乗客向け広告を活用してきた。ユナイテッド航空の機内誌『Hemispheres』には、多くの広告が掲出されている。アメリカン航空とサウスウエスト航空も、さまざまな広告サービスを提供。ユナイテッド航空は米国の大手航空会社で、929機を運航し、今年これまでに1億4800万人の旅客を輸送した。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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