中国発の新興EC「Temu」と「SHEIN」が米国で法廷バトル突入

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中国発のeコマース企業であるTemu(ティームー)は12月13日、競合のSHEIN(シーイン)が「マフィア式の脅迫」戦術を用いて同社の事業展開を不当に妨げていると主張する訴訟を米国の裁判所で起こした。この2社の法廷闘争は、以前から注目を集めていた。

Temuの米国の運営会社のWhaleCoは、競合のSHEINから「悪意ある不法行為の標的」にされたとワシントンD.C.の連邦裁判所に訴えた。訴状によるとSHEINは、同社の知的財産権を侵害し、加盟店に対して脅迫や威嚇、強要などの違法な介入を行っているという。

Temuは、SHEINが同社のマーケティングや広告の主要スタッフを引き抜き、同社の事業ノウハウをコピーしたと主張している。SHEINはさらに、Temuの加盟店オーナーを長時間に渡り拘束し、加盟店のデバイスを没収してTemuのオペレーションに関する機密を盗んだとされる。

Temuは裁判所に対し「SHEINによる米国の法制度の悪用と反競争的行為に歯止めをかけること」を求めている。同社の広報担当者はフォーブスの取材に対し「SHEINの行為は常軌を逸しており、法廷に訴えるしかなかった」とコメントした。

今回の訴訟は、SHEINが800億ドルから900億ドル(約12兆7000億円)の評価額を目標に、秘密裏にIPOを申請したと報じられてから数週間後に起こされた。同社の評価額は、2022年のピーク時に1000億ドルに達し、TikTokの親会社のバイトダンスや、イーロン・マスクのスペースXに次いで、世界で3番目に価値のあるスタートアップとされていた。

SHEINの評価額はピーク時から大きく減少しているが、Temuは今回の訴訟で、その原因が同社が米国に進出を開始したことにあると指摘し「SHEINは競争上の脅威である当社を排除するために必死の計画を立てた」と主張している。

中国で設立され、現在はシンガポールに本社を置くSHEIN は、H&MやZARAのような既存のライバルを凌駕する世界最大のファストファッション小売企業に急成長した。一方、中国のインターネット大手PDDホールディングスが所有するTemuは、昨年9月に米国で事業を開始した。この2社の人気は、大幅なディスカウント価格で提供される豊富な品揃えに後押しされている。

しかし、その急成長にもかかわらず、この2社はさまざまな問題を指摘されている。Temuはカスタマーサポートやデータセキュリティの不備を非難され、SHEINは他社からデザインや知的財産を盗んだとして訴えられている。両者は過去にも法廷で衝突しており、SHEINは昨年、知的財産権侵害の疑いでTemuを訴え、TemuはSHEINがサプライヤーに独占契約を結ばせたとして非難した。10月に、双方はこれらの訴訟を取り下げることで合意した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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