欧州

2023.12.23 12:30

渡河作戦は「自殺任務」でなく「消耗戦」の一部 損害が大きいのはロシア側

ドローンを見やるウクライナ兵士(Shutterstock.com)

クリンキ上空を哨戒するドローン部隊を率いるウクライナ軍の指揮官ロベルト・ブロウディは先週末、クリンキへの数少ないルート上で、自身の部隊がこれまでに損傷させるか撃破したとするロシア軍の車両数を明らかにしている。
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「われわれは南部に滞在していた2カ月半足らずの間に、敵の車両を450両以上攻撃し、うち153両は燃えて灰になった」とブロウディは動画で語っている。

ロシア軍は、月に150〜200両くらいまでの車両損失なら、前線の兵力を縮小せずに耐えていくことができる。

だが、ウクライナ軍はこの数カ月、クリンキでの戦いや東部ドネツク州アウジーイウカでの粘り強い防衛によって、ロシア軍の装備に対して賄いきれる以上の損害を与えた。そのため、ロシア軍はこの冬、大きな突破を達成するのに必要な余剰戦闘力の一部を奪われた。
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ブロウディは、ウクライナの海兵がドニプロ川での作戦を「自殺」行為と記者に語るのは理解できるとも話す。ブロウディはこの作戦の生存者たちを、家族を交通事故で亡くしたばかりの遺族になぞらえ、記者はなぜ「彼らの心情を尋ね、それを一般化して全世界に向けて伝え」ようとしたのだろうかと疑問を呈している。

留意すべきは、ブロウディが、ニューヨーク・タイムズの記者はクリンキの過酷な状況を適切な文脈で説明しないように感じたため、取材を断ったと明かしていることだ。

その文脈には、クリンキの橋頭堡周辺で戦うロシア側の話も含まれるかもしれない。ロシア側のある観察者はこう述べている。「クリンキ方面の状況は、われわれにとって悪くなる一方だ」

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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