そういった意味では、地方のプロジェクトを盛り上げたり発信したりすることで、日本独特のゼブラコンテクストが作れるのではないか。それこそニューローカルの街づくりのノウハウをモデル化すれば、日本モデルとして海外に輸出することができるのではないかと思います。
我々は、世界中で30以上の支部、2万人以上のメンバーを有する米国のZebras Uniteの日本支部であるTokyo Zebras Uniteとしても活動しているので、豊富なグローバルネットワークを有しています。そのネットワークをうまく活用できれば、可能性は十分にあると考えています。
──ゼブラ アンド カンパニーとニューローカルが組むことで、どのような価値を生み出せるでしょうか?
石田:まずは、こういう種類の地域に、このようにお金を投資すると、経済的にこれぐらいのリターンが出て、これくらいのソーシャルインパクトが生まれる、という事例を10個つくりたいです。各々はテック系のスタートアップのようなリターンは出せないかもしれませんが、ちゃんと経済的に成立してリターンも出せて、移住者を呼び込むようなソーシャルインパクトも生まれるような状態までもっていきたい。
イグジットに関しては、ニューローカル自体が会社として上場することもあり得るでしょうし、僕たちが積んでいく不動産のアセットをリートとして上場させることも考えられます。
リターンに関して、東京のマンションなどに投資した方がいいよねという話もあるとは思いますが、それよりもこれくらいソーシャルインパクトがあるから、リターンは多少低くてもこちらに投資したい、というような未来に繋がる選択肢を提示していきたいですね。実際にそういった感覚を持つ人が増えているとも感じています。
田淵:例えば上場についても、東証のプライム市場やグロース市場だけじゃなく、名古屋証券取引所などの地方の証券取引所もありますし、証券取引所を作ることだって不可能ではない。
アメリカでは『リーン・スタートアップ』の著者であるエリック・リースが作った、シリコンバレーに拠点を置くロングターム証券取引所(LTSE)という新しい証券取引所が2021年からスタートしています。ロングタームというくらいなので、長期的な投資家とともに、持続可能で健全な事業のエコシステムを構築するというゼブラ的な在り方です。
今後もこうした長期的な視点でソーシャルインパクトに根差したファイナンスはどんどん増えていくと思います。ニューローカルがそういった新しいファイナンスのモデルケースになればエキサイティングですし、我々も一緒に生み出していきたいと考えています。
──個人としては、どのようなことを成し遂げたいとお考えですか。
石田:現在、世界中で急速に少子高齢化が進んでおり、米ワシントン大は2050年までに世界195カ国・地域のうち151が人口を維持できなくなるという予測を発表しています。つまり、世界中で経済が停滞するのは明白です。
このような状況の中、自分たちが理想のモデルを提示することができれば、世界規模の問題解決に一役買えるのではないかと。僕は死ぬ時に、自分が生きたことで人類が1ミリでも良くなったと思いたい。そのために大きなグローバルイシューに挑みたいです。