筆者は最近、インフレが急激に進むと判断した時に金に飛び付いたが、大いに失望させられた。そのため、金に懐疑的な立場に逆戻りし、今もその立場を維持している。
金の専門家でなければ、ドルコスト平均法(常に一定金額を、定期的に購入する方法)で金を買うべきだ。つまり、月に1度、週に1度、四半期に1度など、自分に合った頻度で金塊を購入し、それを積み重ねるだけだ。ETFや金地金で同じことをしてもいいし、金鉱会社の株を選んで購入してもいい。
しかし、ほとんどの人は単純に、いま積み立てるべきかどうかを知りたいだけだろう。筆者が考えるに、投機家にとっての答えは、過去の高値を明確にブレイクする事態を待つことだ。そうなれば、検討する価値がある。
金の上げ相場が続く場合の道筋を考えてみると、まずは、間違えようのない新高値を付け、次に2200ドル(約32万円)を突破したら、2600ドル(約37万8000円)が新たな天井になる。
しかしながら、これが戦争時に起きる可能性が高いわけではない。また、金はインフレ状態にあることを覚えておくことは重要だ。
「金はインフレ状態にある」と言うと、「何だって?」と多くの人が叫ぶだろうが、金は毎年、採掘によって希釈されている。採掘量は年間3000トンで、これは、これまでに採掘された総量の少なくとも2%に相当するが、現在使用されている金をすべて排除すると、3000トンとは、実際の流通量の約10%に相当する。
需要があまり変化しなければ弱気市場だが、突然パニックが起きれば強気市場になる。それでも、最近の金相場は、マイナーなコモディティや暗号資産に見られるような垂直方向の変動が通常は起きにくい。
従って投資家にとっては、今が買い時であることに変わりはない。また、トレーダーにとっては、チェックすべき明確な水準がある。
現在の状況からは、金利は低下傾向にあり、2024年の終わりか2025年には、量的緩和が行われる可能性がある。過去のインフレは織り込み済みで、世界には荒くれ者の政治家が何人もいる。たとえ暗号資産が金の用途を奪い続けたとしても、金には十分な下支えがあるはずだ。
(forbes.com 原文)