資産運用

2023.10.15

投資ポートフォリオの現状がわかる「見過ごされがち」な3つの数字

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投資ポートフォリオの状況追跡については、大半の投資家が、やるべきことができていないのが実情だ。投資家は、自身が保有するポートフォリオの時価は追いかけているだろう。また、収益についても注視しているはずだ。だが、すべての投資家がモニターすべき指標は、少なくともこの他にあと3つある。配当、手数料そして資産配分だ。

以下に挙げるように、ポートフォリオの追跡ツールには、無料・有料を問わず多くのタイプがある。筆者の個人的なおすすめは「Empower」だ。これは無料の金融資産管理用ダッシュボードで、配当や手数料、資産配分の状況を手軽に追跡できる。とはいえ、優秀な投資追跡ツールは他にもある。また、昔ながらの手法、すなわちペンと紙を使うやり方でも管理は可能だ。

1. 配当

あなたが保有するポートフォリオが、昨年1年間にどれだけの配当を生んだか、把握しているだろうか? 過去5年間を振り返って、配当の支払額は増加傾向にあるだろうか? もし増えているなら、その増加幅はどのくらいだろう? さらに来年、得られる見込みの配当金額は? 

現状では、これらの質問に対する答えを知らない投資家が大半のはずだ。だとしても、投資から得られる配当とその増加幅を追跡しておけば、2つの大きなメリットが得られる。

1つ目のメリットは「配当は、自分が株式を持つ会社の利益から支払われている」という点に注目できることだ。支払われる配当は、所有する株式やファンドが、画面上に表示されるティッカーシンボルや数字だけのものではないということを改めて教えてくれる。

投資先の企業は実際に事業を行っており、利益をあげ、その一部を株主に分配すべく懸命に努力している。株主である私たちに支払われる配当の動向を追跡すれば、この事実が改めてリアルに感じられるはずだ。

第2に、配当の支払いは株やファンドの取引価格よりも安定している。株価は、年単位で見ても値動きが激しい。米国の上場投資信託(ETF)「バンガードS&P 500 ETF」(ティッカーシンボル:VOO)の値動きを見ると、2021年には前年比で28%を上回るほど値上がりしたが、2022年には18%以上の下落をこうむった。さらに2023年は、年初来で12%上昇している。

一方、同時期のVOOの配当支払いは安定している。1株あたりの配当額は、2021年には5.44ドル(約811円)、2022年には5.99ドル(約893円)だった。

これは何も、配当が下がることはないという話ではない。現在も過去も、下がった事例はあり、今後もあるだろう。1920年代から30年代にかけて、インフレ調整後の配当額が大幅に下がったことがあり、1970年代や2000年代後半から2010年代初頭の「グレート・リセッション」と呼ばれる大規模な景気後退時にも同様の事例があった。それでも、株価の動向に比べるとボラティリティははるかに低い。株式市場の日々の乱高下に気をもんでいる人にとっては、この点が安心材料になる可能性がある。
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翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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