大手による寡占も進行中
ノースウェスタン大学でメディア業界を研究するティム・フランクリンは、新聞の廃刊を加速させている2つのトレンドがあると語る。ひとつは、新型コロナウイルスの流行による経済的負担で独立系新聞社の廃業が増えたこと。もうひとつは、収入減と多額の債務に直面した大手の新聞チェーンが、事業の縮小を進めていることだ。一方、ピュー研究所によると、2022年の新聞社の推定広告収入は98億ドルで、前年から5%減少した。これに対し、2005年の新聞の推定広告収入は494億ドルだった。さらに、2022年の新聞社の広告収入に占めるデジタル広告の割合は、48%に達しており、2011年の17%から大幅に増加していた。
さらに、新聞業界が直面しているもう一つの問題は、多様な意見の欠如につながる統合だ。ノースウェスタン大学のレポートは、日刊紙の半分以上、週刊の新聞の約4分の1が大手の10社に所有されていると指摘した。買収や合併の増加は、ジャーナリストの仕事を奪うことにもつながっている。
とはいえ、政治情勢が二極化している状況下で、多様な意見を提示していくことは重要だ。地方紙の減少は、言論空間から多様な見方を奪うことにつながる。さらに、プロのジャーナリストの数が減ったことで、ソーシャルメディアなどの信頼度の低い情報源に頼る人が増加している。
(forbes.com 原文)