毛細血管の反応でスキンケア商品を選ぶ時代が近づく、花王が発表

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皮膚には無数の毛細血管が張り巡らされているが、その状態は生活習慣や疾患により変わることが知られており、毛細血管の状態を簡単に調べることができれば、肌や全身の健康状態の把握にもつながるのではと、研究・開発が進められている。

花王の解析科学研究所・ヘルス&ウェルネス研究所では、高解像度のカメラを利用し、皮膚部を接写することで、毛細血管を撮影し、深層学習を用いて毛細血管の数や面積を算出する技術を開発した。

毛細血管は毛髪の10分の1程度と細く、顕微鏡で観察することが通常だが、それだと狭い視野内しか観察できず、より広い範囲を対象とする場合には不向きだった。それを、4000×3000画素のカメラとレンズを組み合わせて皮膚を接写。血管自体は透明で血液は絶えず流れているわけではないため、動画で撮影し画像を重ね合わせる手法で広範囲の可視化を目指した。


また、毛細血管の状態と肌の組織の状態との関係を調べるには、血管の数や面積などを算出して定量化する必要があり、深層学習を用いて膨大な数の毛細血管を自動的に検出するようにしている。これにより、1000本以上の毛細血管の数や面積を自動的に算出・定量化を可能とした。

さらに、部位ごとに毛細血管数は違い、人によっても異なることを確認。軽微な炎症を起こした肌と正常な肌とで比較すると、毛細血管の数や面積が変化し、その変化は人によっても異なることがわかったとしている。

このことは、同じ環境変化に対する血流の応答が人によって異なる可能性を示しており、同じ刺激で肌状態が悪化・改善する人の違いや、スキンケアの効果の違いの理解につながるとした。

皮膚は繊細で人によって違うため、ヘルスケアやスキンケアといった商品も肌に合う、合わないということがある。そうした違いが、毛細血管の反応を見ることで確認できるようになれば、購入時に最適なヘルスケア・スキンケア商品が選択でき、効果的なケアを行えることが期待される。

出典:花王「1000本以上の皮膚毛細血管を一度に可視化し定量化する新技術」より

文=飯島範久

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