それでも、前線に展開する大隊が絶えず火力支援を求めるため、2S7は時に何時間も砲撃を続け、反撃の砲撃をかわすために砲の位置を変えるときだけ中断することもある。ウクライナの防衛産業によると、昨年の侵攻後間もない時期にキーウを防衛するのに使われた2S7はそれぞれ、1日あたり約50発の砲弾を発射した。
それから1年半にわたる激戦で、ウクライナ軍は2S7を少なくとも5門失い、ロシア軍から1門鹵獲(ろかく)した。第43旅団は2S7を75門保有している可能性がある。これまでに発射した砲弾はおそらく数万発にのぼる。
ウクライナは122mmと152mmの砲弾を生産しているが、203mmの砲弾は生産していないようだ。だが幸運なことに、米国と旧ソ連の203mmりゅう弾砲はいずれもルーツが英国にあるため、米国製の砲弾も2S7で問題なく使用できる。米陸軍は1994年に203mmりゅう弾砲を退役させた。
だが、米軍は203mmの砲弾をあまり備蓄していなかった。そのため、米国がこれまでに在庫からウクライナに供与した203mm砲弾はわずか1万発だ。ウクライナ軍が保有する2S7の数で割ると、1門当たり133発となり、激戦3日間分にしかならないだろう。
米国は、自国の備蓄が少ないことから、他国から203mm砲弾を調達しようと試みている。ギリシャ軍は米国製の古い203mmりゅう弾砲をまだ使用しており、大量の砲弾を保有していると報じられている。
ウクライナ内外の産業界が203mm砲弾の新たな生産ラインを確立するという大胆な取り組みを行わない限り、戦争3年目突入が見えてくる中で、第43旅団にとって最良の砲弾供給源はギリシャ軍かもしれない。他に203mmりゅう弾砲を運用している国の大半は中東とアジアで、砲弾を手放す気はないだろう。
米国がギリシャから購入する量は、砲弾不足を長期的に解決するには少なすぎ、応急処置のようなものだ。だが、新たに5000発の砲弾を手に入れるか、それとも全く手に入れないかの選択を迫られれば、第43砲兵旅団はもちろん砲弾を手に入れる方を選び、少なくとももう数週間は砲撃を続けるだろう。
(forbes.com 原文)