ほとんどの場合、ロータリーはラジオの音で簡単に隠せるような、遠くで聞こえるような機械的な音しか発しない。急加速の時にはドローンのような音になるが、エンジン音がより大きくなるのは110km/hを超えてからだ。
ドライブモードはEV、ノーマル、チャージと3つある。その名の通り、EVモードではエンジンが冬眠状態に入り、バッテリーが空に近くなったときや、急加速のために余分なエネルギーが必要になったときだけ、その眠りから覚める。
チャージ・モードは、例えば低排出ガス地域に向かっていてEVモードで走行したい場合など、移動の後半で使用するために、設定されたバッテリー量を維持する。このモードでは、バッテリーの充電率が43%を下回るとロータリーエンジンが始動する。
ロータリーEVの17.8kWhのバッテリーは、電気自動車仕様の35.5kWhの半分のサイズになる。その結果、ロータリーEVはバッテリーが空になるまでに107kmしか走行できない。この距離なら、一般人の通勤に十分使えるとマツダは言う。
また、電気モーターが車輪の駆動を担うため、どの速度域でも瞬時にスムーズでリニアなパワーを発揮する。ロータリーEVは、EV仕様よりもわずかに速いが、0-100km/hの加速は9秒強とそれほど速くはない。MX-30は停止状態からの出だしは速いし、急加速に十分なパワーを発揮するので、運転していて気持ちがいい。
軽快な走りと軽いステアリングのフィーリングのおかげで、MX-30は街中を走るのに適したクルマだ。高速道路で合流する時や追い越しでも、十分なパワーを持つし、高速走行時の安定感も抜群だ。しなやかな乗り心地は、小さなゴツゴツやバンプを吸収する一方で、大きな凹凸のエッジを和らげる。
ロータリーEVのバッテリーを20~80%まで充電するには、家庭用ウォールボックスでは1時間半ほどかかるが、50kWの急速充電器を使えば、同じ充電を25分で完了できる。とはいえ、ロータリーエンジンに任せればいいのだから、長時間の移動で充電のために停車する人は少ないだろう。