これにより戦場では、火砲をアップグレードしたBMP-1が急速に広まっている。重量15トン、乗員と歩兵合わせて11人が乗り込めるBMP-1は、世界で最も数の多いIFVかもしれない。旧ソ連は1960年代半ばから、第1世代のBMPを何万両も生産。現在、数千両がロシアとウクライナに保管されている。
BMP-1ベースモデルの最大の問題は、防御の弱さに加え、主砲が73mm低圧滑空砲であることだ。この滑空砲は反動が少ないという利点があるが、標的までの距離が数百mを超えると精度が落ちる。
そのため、数十年間保管されていた古いBMP-1の車体をロシアやウクライナが改修する際には、通常、まず砲塔と火砲を撤去し、新しい戦闘モジュールに換える。これには往々にして、近代的な照準装置や23mmまたは30mmの機関砲が備えつけられている。こうした射撃管制システムと武器の組み合わせにより、BMP-1の乗員は約900m先の標的を攻撃できる。
A new modification of the Ukrainian BMP-1 with an new combat module.https://t.co/l7p7140Utf pic.twitter.com/kquey7cBob
— Special Kherson Cat 🐈🇺🇦 (@bayraktar_1love) November 27, 2023
これは、ウクライナの産業界が2年前から少数生産していた、同様に火砲がアップグレードされたBMP-1TSではないとみられる。十数両のBMP-1TSはすべて、ウクライナ軍第5強襲旅団が運用しているようだ。同旅団は少なくともそのうちの1両を戦闘で失っている。
改修されて今回登場したBMPは、BMP-1TSよりもメンテナンスが容易で、安定性が向上しているため、射撃の精度が高くなっているという。ウクライナ軍がBMP-1の兵器に改良を加え続け、その取り組みが加速していることは、常にIFVが不足している同軍の旅団にとっては朗報だ。
だが、たとえ火砲がアップグレードされても、装甲がソーダ缶のように薄いというBMP-1の最大の欠点を補うことはできない。薄い装甲は機関銃以上の強力な兵器には弱い。ウクライナ軍の乗員らが、BMPよりもはるかに重量があり、防御力の高い米国製のM2ブラッドレーIFVを口を揃えて称賛するのには理由がある。
M2は被弾しても、乗員と歩兵を守りながら戦い続けることができる。BMPが被弾すると「乗員全員が死ぬ」のだと、あるウクライナ軍の兵士は指摘している。
(forbes.com 原文)