ラクダの上では視点が高く、見渡せる景色が広い。背中は想像していたよりも凹凸がくっきりしていて、乗馬より上下の反動がある。二頭目がすりすり顔を擦り寄せて懐いてくれ、なんとも愛らしくありがたい気持ちに包まれた。
さまざまな地から参加している人々との交流も楽しみのひとつだ。アブダビに駐在している兄弟を訪問中のニュージーランド人の若い女性、我々と同じく空港から直行していたチェコからの若いカップル、ローマからクルーズ船に乗り、数カ月間自由に乗り降りして旅しているアメリカ人の庭師などと、旅の情報交換で盛り上がった。
オフロード走行は嘔吐を防ぐため、数時間前から食事ができない。すっかりお腹が空いたので、ヘルシーでおしゃれなカフェへ。
ここでは家族連れやカップルのほか、白いカンドゥーラに身を包んだ中年男性が、1人やグループで集まってお茶していた。これはけっこう新鮮でほのぼのする。日本でいうところの背広をまとった「おっさん」たちが、おしゃれカフェに集っている光景は、まず想像し難い。
モスクの入り口につながるショッピングセンター内のインフォメーションセンターでは、カンドゥーラを身にまとった若い男性が朗らかに観光客の応対をしていた。民族衣装で出迎えてくれるのは、異国情緒を感じられて嬉しい。日本のインフォメーションセンターの制服も、もっと和を打ち出した衣装にしたらいいのに。
質問をしてみると、流暢な英語でこちらのニーズを瞬時に汲んだ回答をくれた。さらに素敵だったのが、「Visitor’s Happiness Desk」という案内所の名称。その名の通り、訪れる人を幸せにしてくれる案内所だった。