この研究論文の著者らによれば、ダークトライアドの傾向が強い人は、反社会的行動をとることが多く、それによって生じた「他の人の不幸」から、より大きな喜びを感じるという。
「シャーデンフロイデ度」の測り方
シャーデンフロイデの複雑な性質が認識されはじめたことで、研究者らは目下、その複雑さをさらに掘り下げようとしている。『PLOS ONE』に掲載されたある研究では、この独特な感情体験のスペクトルを定量化するスケールが考案されている。12項目からなるこのスケールは、他の人の不幸を見て自然に喜びを感じる可能性のある状況を述べた文を提示し、その文にどれくらい同意するかで、シャーデンフロイデ度を評価するというものだ。
1. 人が転倒する動画を楽しんで見る。
2. 登場人物が身体的に痛い思いをするドタバタ・コメディを楽しんで見る。
3. 転んだ人を助け起こす前に、その人を笑ったことがある。
4. 「ものすごくバツの悪い瞬間」の話を楽しんで読む。
5. 歩いている人が、閉まっている透明なガラスドアにぶつかるのは愉快だ。
6. 笑いものになっている人を見るのは愉快だと思う。
7. 他の人が低い成績をつけられるとうれしい。
8. 他の人が散々な一日を過ごしているのを見るのが好きだ。
9. 他の人のコンピューターがクラッシュするのを見るのは楽しい。
10. 成功した人がクビになるのを見るのが好きだ。
11. 他の人の失敗に喜びを感じる。
12. 誰かがギリギリでバスに乗り遅れたのを見て笑う。
このスケールを使うことで、他の人の不幸に対する反応にまつわる複雑さを解き明かすことが可能になる。シャーデンフロイデ度の強さを理解すれば、人間の心理に関する貴重な見識が得られるだろう。
著者の言葉を借りれば、「シャーデンフロイデの特性のなかには、まったく無害な面もあれば、本質的に有害な面もある」。人生におけるちょっとした不運をこっそり笑うのは問題ないだろうが、その一方で、自分のシャーデンフロイデ度をきちんと意識し、チェックすることが必要だ。そうすれば、そうした「こっそり」が、他の人の失墜や苦痛をあからさまに喜ぶ気持ちに変わってしまうのを防ぐことができる。
境界線上にある「笑い」の瞬間について常に意識し、自分自身に対して、「これは無害な笑いなのか、それとも、悪意の領域に踏みこもうとしているのか?」と問うようにしたい。
まとめ
シャーデンフロイデにはカタルシス効果もあるが、度を越すと、ペシミストや冷笑家、あるいは、もっと邪悪な存在になってしまうおそれもある。少しでも思いやりをもつように気をつけることが大事だ。人生というホームコメディのなかでは、不器用な登場人物がいたら、その人の立場になって考えてみよう。他の人の失敗を楽しむのではなく、喜びをわかちあう快さを選ぶことを忘れないようにしよう。バランスのとれたユーモアは、心を明るく保ってくれるはずだ。
(forbes.com 原文)