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2023.11.24 08:30

米トップVCに聞く「10年後の理想」 日本スタートアップのポテンシャル解放へ

中村幸一郎氏

面白い例として、シカゴ大学にニューベンチャーチャレンジという、大学発のアクセラレータープログラムがあります。セレクションから教育まで非常に丁寧で実績もあるプログラムで、大学側はビジネススクールの学生を中心に考えていましたが、私の恩師であるシカゴ大のMBA教授でベンチャーキャピタル業界の重鎮でもあるスティーブ・カプランが、フルタイムの学生に限らずに、ウィークエンドやパートタイムの学生、卒業生なども参加させることにしました。
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私自身、カプランにその理由を尋ねたことがあり、「どこから、何が出てくるかわからない」との答えでした。そして、結果として一番成功した企業も、社会人向けのエグゼクティブMBAのウィークエンドプログラムから生まれています。

──誰でも成功を収める可能性があるということですね。

一方で、例えばテック業界で評価される医学部発の企業や、国立研究所とビジネススクールの学生が共同設立したような企業は、期待こそ集めますが、予想以上の成長は遂げないことが多いという結果が出ています。
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今年のビジネススクールの審査コンテストで優勝したのも、カプセリング技術をもつ企業とビジネススクールの学生によるチームでしたが、「彼らを1位にしない方がいいかも知れない」意見もあり、評価が分かれたーケースでした。彼らは研究から生まれた抗がん剤のカプセル技術を持つチームで、抗がん剤が正常な細胞に副作用を引き起こさないよう、がんの特定の部位に当たったときにだけ開くカプセルを開発した、非常に高度な独自技術があることで優勝に輝いたものの、「ああいった企業はビリオンダラーカンパニーにならない」という意見が多くありました。その理由は、研究者としての経歴は華やかだけれども、人工的につくられたチームであり、最終的にどこかに買収されてしまうことが多いとのことでした。

日本でも、華麗な経歴をもつ研究者であることと、偉大な企業をつくり出せるかどうかは別問題で、人材の多様さは重要だといえます。

また、海外のプログラムを日本に持ち込む際の注意点として、日本独自の日本版プログラムを別個につくることではなく、海外で行われている、実績があり、成功している専門家と連携しているプログラムの内容をそのまま教えることが大切です。理想は、実績のあるベンチャー・キャピタリストや教育プログラム関係者が受講者の選考に関わり、選ばれた受講者がアメリカの「カウフマン・フェローズ・プログラム」や、スタンフォード大学やシカゴ大学、ハーバード大学の実績のあるプログラムを直接受けることができる形であり、私もそういったプログラムをつくっていきたいと考えています。
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