VC

2023.11.24 08:30

米トップVCに聞く「10年後の理想」 日本スタートアップのポテンシャル解放へ

──10年後の理想像に向けて、中村さんはどのような考えで日々活動していますか。

日本は魅力があり、独自性に溢れていると思います。しかし、企業経営や投資評価に関しては、グローバル化といった問題を先送りしてきたことで、今は問題が積み重なって本来のポテンシャルをうまく生かせていないと感じています。私としては今後10年間で、正しい方法でその問題を解決していくことで、正しい努力を正しい方向で積めば上手くいくという実例を積み上げていきたいと考えています。

日本のポテンシャルを考えると、スウェーデンのクランダムが引き起こした数倍のインパクトを生み出せるはずです。もちろん、イノベーションはつぎ込んだお金に比例して拡大するわけではなく、0から1の成功例をつくり、体制を整え、地道に拡大させていくしかありません。

それに、今は若い世代への大きな希望もあります。10年前は、今ほど若い優秀な人材がベンチャー業界に関心を持ってはいませんでした。大学生と会話していても、自分たちが同年齢だったときよりも、はるかに優秀だと感じるものです。

当然、彼らの相手は世界のスーパーエリートたちですから、競争も想像できないほどの激しさになります。私たちも若い世代の足を引っ張るのではなく、できる限りの情報や環境を与え、世界と伍する支援をしなければなりませんね。


中村幸一郎◎Sozo Venturesファウンダー兼マネージング ディレクター。早稲⽥⼤学法学部在学中にヤフージャパンの創業・⽴ち上げに孫泰蔵⽒とともに関わる。三菱商事では、通信キャリアや投資の事業に従事し、インキュベーションファンドの事業などを担当。早⼤法学⼠、シカゴ⼤学MBAをそれぞれ修了。⽶国のベンチャーキャピタリスト育成機関であるカウフマンフェローズを2012年に修了。同年にSozo Venturesを創業。米Forbesによる最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング「Midas List」の2021年版に日本人として初めて72位でランクイン、2023年度版では55位までランクを上げた。現在、エンデバー・ジャパンのボードメンバーを務める。

ForbesBrandVoice

人気記事