キャリア・教育

2023.11.24 09:30

日本と海外の「会議」の違い 話す順番で空気は変えられる?

鈴木 奈央
中道:日本には「暗黙の了解」とか「阿吽の呼吸」というものがありますよね。プレゼンテーションでも、誰がどの順番で話をするのか暗黙のうちに決まっているとか。話の流れもなんとなく見えますし。僕は良い面と悪い面の両方あると思っています。

たしかに海外の会議はラグビー的で、いろいろな角度からバンバン意見が飛んできて、それでも最終的に何をどうするのかまとまっていきます。日本の場合は、1つひとつ積み上げて、順序立てて話してまとめていく。

僕自身、イギリスから帰ってきたときにびっくりしました。空気なんか読まずに普通に話すのはダメなのかなって。野球しかやったことのない人に、いきなりラグビーをやろうと言ってもできないでしょうが、変わった方がいいと言い切った方がいいのかな?
Shutterstock.com

Shutterstock.com

レイ:僕は日本にもオフィスを構えていて、いくつかルールを作りました。1つは、上下に関係なく男性も女性も人を呼ぶときは名前に「さん」を付けで呼びましょう。そうすることで、上下関係が完全になくなることはありませんが、少し和らぐんです。

もう1つは、意見を聞く時はチームの意見から聞くということです。先にトップの人が何か言うと、それで決まってしまったり、それ一色に染まってしまったりするので。

クライアントのミーティングに出ている時、最初にトップが発言するとみんなそこに賛同する意見を言うんです。それがどこまで本音なのかわかりませんけど、そうなってしまうと自分の意見を言う場ではなくなってしまう。まだ経験が少ない人や若い人でもちゃんと意見が言えるような環境を作ることを特に上の人たちは意識するようにしています。

中道:プレゼンでは、下の人から順番に言って、最後に一番偉い人が言うみたいな順番もありますよね。問題だなと思うのは、この人はこう言いましたと、ただ順番に話しているだけで、意見が積みあがっていないということです。そして最後に偉い人が「こうだよね」と言って決まる。結局、偉い人の話だけで決まるのだなと。そういうところは変わった方がいいと思いますね。

レイ:アップルの教育プログラム、アップルユニバーシティの学長をやっていたという人がいて。その人はもともとイエール大学の大学で学部長をしていたそうですが、アップルユニバーシティを立ち上げるため、スティーブ・ジョブズから引き抜かれたそうです。

その人に、会社でイノベーションを起こすにはどういうカリキュラムで会社を改造していけばいいのかと質問したら、こんなことを教えてくれました。

1つは、共通の言語で会社の目的やパーパスを明言化しておくこと。2つ目は、会社の中でディベートをする文化を意識してつくること。みんなが「そうですよね」と同調していたらいいものはできない。違う意見の人たちと意見をぶつけ合うことで、良い意見になっていくことがとても大事だとおっしゃっていました。

中道さんおっしゃったように、あえて下から言わせて、意見のぶつかり合いがないまま、最終的に一番偉い人の一言で全て決まるというのはイノベーションには繋がらないということですよね。
次ページ > みんなとは違うことに誇りを持つ

文=久野照美 編集=鈴木奈央

タグ:

連載

VISION TO THE FUTURE

ForbesBrandVoice

人気記事