クワッドコプターの攻撃ドローンは無誘導の擲弾を投下する。ドローンによる爆撃の多くが停止している車両や、地雷や大砲に遭ってすでに動けなくなっている車両を標的にするのはそのためだ。安価なドローンには射撃管制システムが備わっていない。擲弾を命中させるために動いている車両のどれくらい先にいるべきか、操縦士への指示もない。
だからこそ、この映像で次に起きたことは非常に注目すべきことなのだ。運が良かったのかもしれないが、おそらくスキルによるところが大きいだろう。いずれにせよ、第30旅団のドローン操縦士は、飛行中のドローンから擲弾を落とし、移動中の戦車に命中させている。オープンソース・インテリジェンス(OSINT)アナリストのアンドルー・パーペチュアは「これまでに見たドローン操縦の技の中で、最高にすばらしいものだ」とコメントした。
擲弾で戦車が受けたダメージの程度は不明だ。エンジンか燃料タンクを損傷したかもしれない。いずれにせよ、戦車は動けなくなった。もう1両の戦車が救援に駆けつけ、乗員がケーブルを取り付け、損傷した戦車を回収する準備をする。
その時、第30旅団のドローン操縦士が再び攻撃を仕かけ、2発目の擲弾を救援にきた戦車の砲塔に投下した。砲手用、そして車長用のハッチ2つが開いている。どちらかのハッチに擲弾が入れば乗員は死亡し、戦車は大破するかもしれない。
だがそうはならない。擲弾はわずかに外れ、砲手ハッチからほんの数cmのところにある、慎重な扱いを要する照準装置を直撃する。動揺した砲手は、ほんの数センチの差で死を免れたことを知る。ハッチを閉める手が震える。
救援の戦車はまだ動くことができる。第30旅団の映像は、まだ動く戦車が動かなくなった戦車を牽引するところで終わっている。いずれの戦車も修理できる可能性が高い。だが、数日か数週間、あるいは数カ月は使えないだろう。命中、それに続いて命中に近い攻撃は、非常に才能のあるドローン操縦士1人の1日の仕事としては悪くないものだった。
(forbes.com 原文)