突撃隊や補給部隊を襲い、防空施設や砲台を執拗に攻め、前線から数十キロメートル、あるいは数百キロメートルも後方に位置する航空基地を攻撃する。
最近までは、歩兵部隊が敵の陣地に近づいて攻撃する際にドローンが直接火力を支援することは通常なかった。火力支援としては、歩兵は依然として迫撃砲や肩撃ち式ロケット砲、速射できる機関砲を備えた戦車や戦闘車両に頼っていた。
それが変わり始めた。そして、通常の法則の例外として、かなりの技術革新を行っているのはロシア軍だ。
最近、ウクライナ南部のザポリージャ州とドネツク州の境にあるウクライナ軍の塹壕群を、ロシア軍の歩兵部隊が襲撃した際、ロシア軍はウクライナ軍の分隊に向けて爆発物を搭載した8機の一人称視点(FPV)ドローンを飛ばした。これによりウクライナ軍の兵士7人が死亡し、生き残った6人は後退を余儀なくされた。
スタロマイオルスケとプリユトネの間にあるヴレメフスキー棚沿いで先週展開されたこの攻撃では、ロシア側に死者は出なかった。この集落はモクリ・ヤリー川渓谷に近く、そこでウクライナ海兵隊は今夏、大きく前進した。
戦争の最新情報をまとめるウクライナのディープ・ステート・プロジェクトは、この戦闘の映像を分析し、独立調査機関コンフリクト・インテリジェンス・チーム(CIT)がその分析を要約した。CITは「ロシア軍の4つの突撃隊が攻撃支援でFPVドローンを使っているのが観察された」と述べている。
「最初の映像では、ロシア軍の兵士らがドローンでウクライナ軍の塹壕を攻撃し、砲兵1名と兵士3名を殺害している」とCITは続けた。
CITによると、「その後、ロシア軍は即席の空爆を続けながら、2つ目の塹壕を襲撃した」。ドローンがさらに押し寄せ、生き残ったウクライナ軍の兵士らは逃亡した。「ロシア軍は損害を被ることなく、これらの陣地を占領することができた」とのこと。
ロシアの宣伝工作を行う国営メディアなどは、最近の小戦を取り上げて、6月初旬に始まったウクライナ軍の反攻が「完全に停止した」と宣言した。
それは事実ではない。だがウクライナ側がドローン対応に苦慮しているのは事実だ。「ロシア側も含め、要塞攻撃時にドローンが効果的に使用されていることから、対ドローン戦のさらなる展開に疑問が投げかけられている」とCITは説明している。
ウクライナ側は、強力な電波妨害装置や車両の周囲に取り付けるケージ装甲、ゲパルト自走対空砲など、ロシア軍のドローンの飛行を落下させたり逸らせたり撃ち落としたりするシステムを続々と配備している。だが、防御の大半は前線から何キロメートルも後方で機能し、戦闘の最前線にいる歩兵のためのものではない。
(forbes.com 原文)