北米

2023.11.12

米軍人の個人情報を「1人1ドル以下」で販売する業者たち

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数千人の米軍人の健康問題やギャンブルの習慣などを含む個人情報が、1人当たり0.50ドル以下で売られていることを示した研究結果が、米デューク大学により6日、発表された。

同大のデータ・ブローカー・プロジェクトに携わる研究チームは、12社のデータブローカーに連絡を取り、3社から情報を購入。その中には、健康情報や財務情報の他に、連絡先や家族構成、保有資産、宗教などのデータが含まれていたが、いずれも匿名化されていないものだったという。

さらに、研究チームは単一のブローカーから、約5000人の現役軍人のデータを購入したが、そのコストは1人当たりわずか0.213ドルで、氏名や自宅住所と電子メールアドレス、支持政党、性別、年齢、収入、保有資産、子供の有無などの詳細な個人データが含まれていた。

デューク大学サンフォード公共政策大学院の上級研究員ジャスティン・シャーマンは、ブローカーが軍人のデータを大量に販売していることは、国家安全保障に対する脅威となり得ると指摘。「彼らは、米国の国家安全保障体制の上級メンバーを含む、事実上すべての米国人のデータを収集している」とフォーブスに語った。

「外国の勢力は、米国のプライバシー規制の欠如を悪用する可能性がある。すでに極めてセンシティブな非公開のデータを収集し、パッケージ化する作業を行っている。このようなデータは、賄賂や恐喝に使われる可能性がある」(シャーマン)

デューク大学の研究チームが発見したのは、データの購入が安価であっただけでなく、簡単に入手が可能だということだ。チームは、アジアのドメインの電子メールアドレスとシンガポールにあるサーバーを用いてブローカーに接触し、ブローカーが機密データを外国の組織に販売することを確認した。

ブローカーはまた、幅広い情報源から情報を収集しているようだ。デューク大学の研究チームが、どこの企業からデータを入手したのか尋ねたところ、モバイルアプリや医療記録から収集したと答えた企業もあれば、NPO(非営利団体)から入手したと主張する者もいた。

データの売買は、ほとんどの場合、完全に合法ではあるが、シャーマンはこの業界を取り巻く規制の強化が必要だと考えている。「携帯電話のアプリのようなファーストパーティのデータ収集者が、私たちのデータをブローカーに売る可能性があることを理解することが重要だ」

研究に参加したデューク大学4年生のアデン・クラインは「ブローカーは、支払いを確実に受け取ることや、責任を回避することのみに重点を置いている。軍人のデータを購入することに実質的な障害はない」と述べている。

ただし、位置情報の販売に関しては、少なくともいくつかの制限があるようだ。そのようなデータの購入について尋ねられたあるブローカーは、一部のセンシティブな場所の近くにいる人々のデータは販売しないと答えたという。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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