カルチャー

2023.11.26 11:30

地域で、世界で、活躍するカルチャープレナーたち【前編】

200年の歴史を受け継ぐ京提灯であらゆる場所に新たな景色を創造する

小嶋 諒|小嶋商店 10代目

江戸寛政年間(1789~1801年)に創業した京提灯の老舗「小嶋商店」を営む。竹割から紙貼り・絵付けまでの全工程を手作業で行う製法を代々受け継ぎ、京都・南座に吊られている提灯をはじめとする伝統的な京提灯をつくり続ける一方で、提灯の素材やフォルムと「空間」の関係性を模索し、灯りをともすことで生まれる新たな景色を創造している。2019年にはパリ装飾芸術美術館、22年にはプラハの国立美術館からそれぞれ声がかかり、現地で京提灯製作の実演とワークショップを実施した。

21年には提灯の用途・形に着想を得たアパレルブランド「JINAN」をローンチ。このほか、オーストラリア人デザイナーとのコラボ作品がミラノサローネ国際家具見本市の空間デザインコンペティションに出品されるなど、国内外で活動の幅を広げている。

アウトドアスポーツにも「漆」を活用 日本古来のサステナブル素材に新活路

堤 卓也|堤淺吉漆店 4代目

樹液を仕入れ、精製から調合、調色を一貫して自社で行う、明治42年創業の漆屋「堤淺吉漆店」の4代目。北海道大学を卒業後、養鶏会社勤務を経て2004年に堤淺吉漆店へ入社。漆の国内消費や職人の減少を懸念し、16年より漆の魅力を伝えるプロジェクト「うるしのいっぽ」を開始。

1万年前から日本の風土で使われてきた漆を、現代にも求められるサステナブルな天然素材と捉え、文化財修復や伝統工芸品の製作といった既存のニーズのほか、サーフボードやBMXの製造にも漆を用いることで、伝統の枠にとらわれない漆の可能性を拡げている。また、19年には一般社団法人パースペクティブを設立し、京都市で漆の木を育てるプロジェクト「工藝の森」を運営。植栽活動など「植えるから始まるモノづくり」が評価され、工芸支援団体Japan Craft 21コンペティション最優秀賞を受賞した。

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文=眞板響子、督 あかり

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年11月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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