欧州

2023.11.05 09:30

ウクライナ海兵隊、装甲が薄い仏製偵察車両をすぐに損失 40両を追加入手か

Getty Images

そしてまずい事態になった。完全に予測できたことだった。少なくとも2両、おそらく5両のAMX-10RCが動けなくなったか破壊された。ロシア軍は動けなくなったもののうち1両を鹵獲(ろかく)した。
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海兵隊の少佐がAFP通信に語ったところによると、AMX-10RCの乗員のうち少なくとも1人が死亡した。「砲撃があり、砲弾が車両の近くで爆発した。破片が装甲を突き破り、搭載していた弾薬一式が爆発した」と少佐は説明している。

名誉のためにいうと、海兵隊は自分たちの誤りをすぐに理解したようだ。少佐はAMX-10RCについて「砲はいいものだし、偵察のための装置も非常に優れている」と語り「だが残念なことに装甲が薄く、前線での攻撃でこれらの車両を使用するのは非現実的だ」と指摘した。

海兵隊がついにヴェリカ・ノボシルカを突破し、戦いながら狭いモクリ・ヤリー川渓谷に沿って南下したとき(この作戦は4カ月後も続いている)、T-80と英米製の装甲車が先頭に立ち、AMX-10RCは後方に回った。
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そして、第37海兵旅団が損傷を免れたAMX-10RCをどう使っていたかは、すぐに明らかになった。移動式の火力支援として使用していた。

9月中旬にネットで公開された映像には、AMX-10RCの小隊が白昼に平野から安定していない主砲を撃っている様子が映っている。AMX-10RC内部を撮った別の映像では乗員はまったく慌てていない様子だ。

反撃を受けた際、AMX-10RCがそれほど危険な状況に置かれていなかったことは明らかだ。AMX-10RCはロシア軍から十分に、おそらく数kmほど離れていたため、撃ち返される前に撃って走り去ることができただろう。

昼夜対応の精度の高い照準装置と信頼できる主砲の組み合わせにより、AMX-10RCの乗員は1.6km以上先の標的を確実に攻撃できる。しかも、それは砲を水平にしながらだ。

砲に角度をつけて撃てば、射程は最大約7.2kmになる。ウクライナ軍のAMX-10RCの乗員は、弾道射撃操作のための計算にタブレット端末にインストールされた特殊なソフトウエアを使っているようだ。

もちろん、最大射程で撃つ時に同じ精度を期待してはいけない。目視できる範囲を超えたところから発射するAMX-10RCは、ドローンや前方を見張っている兵士によって登録された目標座標を狙う、生存可能性が高い即席のりゅう弾砲として機能する。

追加で40両のAMX-10RCを入手することで、ウクライナ海兵隊はこの特殊な火力支援能力を倍以上に増強することができるかもしれない。あるいは、乗員を失うという6月初旬の失敗を繰り返し、AMX-10RCを戦車として使おうとすることもあり得る。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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