海外

2023.10.31

TOEIC300点台から米国へ 連続起業家が見たシリコンバレーと東京

丹羽健二氏

大学生の時にインターンシップの求人サイトで起業し、2017年に渡米した丹羽健二さん。英語力ゼロで渡米し、語学学校で英語力をつけてスタンフォード大学とUCバークレーで学び、2020年にフィンテック事業のスタートアップ「Firstcard」を立ち上げました。今年9月にはシードラウンドで$4.7M(約7億円)の資金調達も成功させました。

現在もシリコンバレーに住んで活躍している丹羽さんに、スタンフォード、UCバークレー、そしてシリコンバレーのスタートアップエコシステムについて伺いました。

──ご経歴を教えてください。

早稲田大学在学中の2007年に起業し「キャリアバイト」という長期実践型のインターンシップの求人サイトを運営していました。受け入れ企業は累計で2000社以上に膨らみ参加学生は1万人以上の規模に成長しました。会社を2015年に売却して、次のチャレンジをアメリカでやろうということで2017年にシリコンバレーに来て、2020年に現在の「Firstcard」を立ち上げました。

Firstcardでは、大学生向けのクレジットカードを提供しています。アメリカでは、留学生がソーシャルセキュリティナンバーがないとクレジットカードが作れないという課題があったり、使いすぎが怖い、もしくは審査に落ちるという理由で、50%の大学生がクレジットカードを持っていません。それらの課題を解決して、全ての人の人生最初のクレジットカードを提供する会社になろうと奮闘しています。

──なぜ渡米しようと思ったのでしょうか。

日本で学生起業したときも、グローバルで戦える企業を作りたいと思っていました。ですが、気づいたら完全にドメスティックな事業になっていて、海外への道筋は見えなくなっていました。

そこで次のチャレンジは改めてグローバル企業を創るということに決め、シリコンバレーで勝負しようと決意して渡米しました。

──英語が得意だったのですか?

いえ。全くです。ただ会社を作るからには、大きい会社にしたいし、自分のサービスで多くの人々に良い影響を与えていきたい。そう思ったときに、やっぱり日本だけよりも世界に出た方がいい。アメリカで勝つことが、グローバル企業を創る一番の近道だと思ったんです。

──渡米後は順調に?

全く順調ではないですね。最初の3年は本当に苦労しました。これまでの人生振り返っても、一番つらい時代でした。英語力ゼロ(渡米時のTOEICは300点台)で渡米しましたから。

日本以外の先進国では、大学を出ていたら、だいたい皆英語ができます。日本だけは、トップクラスの大学を出ていても英語ができない。そうすると、見下されて相手にされないので、そのことが最初は本当につらかったです。
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文=芦澤美智子 編集=露原直人

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