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2023.10.25

グーグル元CEOが1億ドル注ぐ「39歳年下の愛人」のスタートアップ

エリック・シュミット (Tom Williams/CQ-Roll Call, Inc via Getty Images)

グーグルの元会長のエリック・シュミットは、2017年の退任以来、200億ドル(約3兆円)もの個人資産のパワーで投資先を監督し、米国防総省の人工知能(AI)プロジェクトの相談役としてシリコンバレーでの地位を盤石なものにした。

現在68歳のシュミットは過去2年間、その影響力を拡大し、関係者の証言によると、少なくとも1億ドルを自身の不倫相手がCEOを務めるスタートアップのSteel Perlot(スティールパーロット)に投入した。同社の執行会長はシュミットが務め、CEOはミシェル・リッター(Michelle Ritter)という29歳の女性起業家が務めている。

シュミットの投資は、スティール社が新たなベンチャー企業を立ち上げ、投資するアクセラレータ事業を支援するためのものだった。しかし、同社は設立からわずか1年余りで、シュミットの資産管理会社ヒルスパイアに、新たな支援を求めていた。

フォーブスが入手した内部資料によると、スティール社の幹部は今年1月にヒルスパイアに宛てたEメールで、250万ドル近くの給与とクレジットカードの借金の支払いを依頼していた。

ゴシップ系メディアのPage Sixなどは、以前からシュミットの不倫を報じていたが、彼は今も40年来の妻のウェンディ・シュミットとの結婚生活を続けている。しかし、シュミットとスティール社との関係は、彼が不倫相手とビジネス関係を結んだ初めてのケースと思われる。

2001年から2011年にかけてグーグルのCEOを務め、その後は同社と親会社のアルファベットの会長を務めたシュミットは通常、投資先への関与の詳細については沈黙を守っているが、スティール社の件は例外だ。彼は同社の執行会長としての役割を公言しており、リッターとともにミーティングにも出席していたとされる。

「シュミットはとても活動的な会長で、私たちの関係はごく一般的なCEOと会長の間柄です」と、リッターはフォーブスの取材に話した。

シュミットは従業員に対して、スティール社がリッターの会社であり、彼女が完全な自治権を持って経営していることを明確にしている。しかし、11人の元従業員や関係者への取材の結果、リッターが同社の財政的コミットメントや、業界のリーダーたちの関与を誇張していたことが見えてきた。

フォーブスとのインタビューで、リッターは同社にはシュミット以外にも複数の後援者がいると主張した。しかし、フォーブスは、シュミット以外の誰かがスティール社に多額の資金を提供したという証拠を見つけることができず、リッターはその投資家の名前を特定することを拒否した。

複数の元従業員によると、リッターは、ジェフ・ベゾスやマイケル・ブルームバーグを含むテック業界の大物がスティール社のプロジェクトに「コミット」または「関与」しているとほのめかしていたという。彼女はまた、アラブ首長国連邦の政府系ファンド、ムバダラの名前を出したこともあったとされる。ブルームバーグとムバダラはコメント要請に応じず、ベゾスの広報担当者はコメントを拒否した。
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編集=上田裕資

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