この間、英語の勉強と同時にエンジェル投資を始めました。毎月1社のペースで投資をして、シリコンバレーのスタートアップの世界を学ぶとともに、次にやるビジネスの種を探しました。
──早稲田大学での起業と、米国(UCバークレーやスタンフォード大学)での起業を経験されているわけですが、両者の違いを教えてください。
僕が早稲田大学にいた頃は、起業の授業はほとんどなかったと思います。基本的に大企業に就職することがゴール。
一方で、スタンフォード大学には、StartXやStartup Garageといった起業を実践的に学んだり、支援するプログラムがいくつもあります。キャンパスに「スタートアップやろうぜ」っていう空気感があり、学内のカフェテリアで普通に資金調達の話が聞こえてきます。学生のほとんどはキャンパス内に住んでいるので、その熱の凝縮度は日本の大学と比べものになりません。
UCバークレーのビジネススクールの授業でも、起業に関する授業がたくさんありました。授業でビジネスプランを作ったり、MVP(Minimum Viable Product)やプロダクトマーケットフィットについてなど、実践的なことを学べます。著名アクセラレーターのYコンビネーターのCEOなどゲストスピーカーとして大物ゲストが毎週のように来ていました。
──シリコンバレーと東京の違いはなんでしょう?
シリコンバレーと東京のスタートアップのエコシステムの違いは、「規模」と「競争の激しさ」だと思います。関わっている人の数、動いているお金の量が桁違いです。人もお金も世界中から集まってくるんですよ。アメリカのユニコーンの創業者の半分以上は移民です。
お金の規模で言うと、Appleの現在の時価総額は約2兆ドル(約300兆円)。日本の大手ネット企業の時価総額と比べると100倍近くの差があります。シリコンバレーの企業は、世界に向かってサービスを広げていくことを目指しています。日本の約1億2000万人を相手にしてるのとは規模が違います。
多様性も異なります。うちの社員も、実はアメリカ生まれの社員はいなくて、ブラジルや中国、エジプト出身の人たちです。アメリカ企業には、世界中から集まっている社員がいるからこそ、他国にも進出しやすいということもあります。例えば、当社がアメリカから、ブラジルや日本などにビジネスを拡大することは、現実的だと思えます。
また、Uberが生まれたように、規制がグレーな段階から、多くの起業家が参入して、後から規制をかけていくといった具合で、スピード感もって新しい産業が立ち上がっていきます。