本連載では、現地に1年間滞在し、スタートアップ・エコシステム調査を行う芦澤美智子が、その内部の実態を探りお届けしていきます。
今回は、スタンフォード大学関係の起業家だけが参加できる起業家支援団体「StartX(スタートエックス)」を取り上げます。同団体は2009年にスタンフォードの学生によって設立されました。
内部では、アクセラレータープログラムの開催や、パートナー(企業やプログラム卒業生など)との様々な連携が行われ、約12年で1000社以上のスタートアップ、2000人以上の起業家が参加するコミュニティに成長しています。NFTマーケットのオープンシーを始め、医療分野にわたるまで16社のユニコーン企業を生み出すという驚くべき実績を出しています。
自身もスタンフォードの卒業生であり、同団体で事業開発責任者を務めるダーシュ・シン・マンさんに、StartXがどのような組織なのか、話を聞きました。
300件以上の応募、採択率は10%以下
──StartXはシリコンバレーの中でも、高い評価を受けているアクセラレータープログラムですね。StartXは起業支援のアクセラレータープログラムとして認識されていますが、その原点はコミュニティです。起業家のほとんどは起業に対する経験がなく、立ち上げ当初は1人または少数でほとんどのことをやらなければならず孤独です。アドバイザーやメンターにコンタクトするのも簡単ではありません。そこで私たちは、起業家が、起業について学び、実験をし、信頼できるメンターや連携企業、他の起業家仲間と交流する、安全なコミュニティであろうと考えています。
──アクセラプログラムにはどのようなものがありますか?
・卒業生プログラム
・現役学生プログラム
・スタンフォード教授プログラム
があります。
各プログラムは、年に3回コースを開催しています。春夏秋、それぞれ300件以上の応募があり、採択率は10%以下です。
春季コースは1月から3月まで、夏季は5月中旬から8月まで、そして、秋季は10月中旬からコースを実施します。それぞれ10〜12週間程度です。
この間、資金調達に関する講演、起業家の講演、パートナー企業とのセッションやバーベキューなど、たくさんの人と関係を構築します。 そしてプログラム最終日には「VIPナイト」と呼ばれる卒業式のようなイベントがあります。
──StartXに所属する方の属性は?
特定の業界に限定しないようにしています。私たちは起業家たちのアイデアを尊重しています。ただし、サブグループを作るようにしています。
例えば、医療のスタートアップが複数いれば、病院と連携しているサービスプロバイダーグループを作ります。脱炭素のグループには多くの起業家が入っています。ブロックチェーンや、アグリテックのような分野でも、強力な企業がたくさん出てきています。