深圳に本社を置く伝音が16日に発表した第3四半期の純利益は、前年同期比195%増の18億元(約370億円)に急増。今年1~9月の純利益は前年同期比72%増の39億元、売上高は同19%増の430億元だった。
フォーブスは、伝音を率いる朱肇江(ジョージ・チュー)の保有資産を18億ドルと試算している。2019年に上海証券取引所に上場した同社の株価は、ここ1年で約130%上昇した。伝音のスマホブランドにはTecno(テクノ)やitel(アイテル)、Infinix(インフィニックス)があり、家電製品ではSyinix(シニックス)を展開中だ。中国やエチオピア、インド、バングラデシュに工場を構えている。
市場調査会社カナリスのデータによると、伝音は世界のスマホメーカー上位5社のうち、第3四半期に市場シェアを伸ばした唯一の企業だった。市場全体の出荷台数が1%減少した中、同社のシェアは前年同期の6%から9%に拡大し、世界4位タイとなった。
カナリスが17日に発表したメーカー別の出荷台数のシェアは、サムスンが20%で首位。次いでアップル(17%)、シャオミ(14%)、OPPO(9%)の順だった。
カナリスのアナリストは「世界的なマクロ経済と地政学の先行き不安が、スマートフォン市場の回復と販売チャネルに脆弱(ぜいじゃく)性をもたらした」と指摘している。
同社の予測では、中長期的にこの市場では成長の鈍化が見込まれるという。「ベンダーは、潜在的な需要の復活とサプライチェーンのコスト上昇に備え、在庫を再構築している。直近の受注の急増と供給能力の低下は、部品不足を引き起こし、計画や生産に困難をもたらす可能性がある」と同社のアナリストは分析した。
(forbes.com 原文)