Android OSで動作する同社の最初の携帯電話のNothing Phone (1)は、内部のパーツが見える透明な筐体を採用し、背面には通知の種類や相手ごとに光り方を変える900個のLEDライトを備えている。定価が399ドル(7万3800円)からのこの端末は、複数のデザイン賞を受賞し、カルト的な人気を獲得した。
ロンドンに本社を置きインドと中国に工場を持つNothingは、7月11日に第2弾の製品のNothing Phone(2)を発表する。同社はこの端末が「デジタルライフをシンプルにする」とアピールしている。
「私たちはテクノロジー企業として、消費者が成し遂げようとしている課題を、より速く達成するための手助けを行っている」と、ペイは述べている。彼は、2016年にスマホメーカーOnePlusの共同創業者としてフォーブスの「30アンダー30」に選出されていた。
Nothing は6月28日、ロンドンを拠点とするVCのハイランド・ヨーロッパの主導で9600万ドル(約139億円)を調達したと発表した。既存出資元のグーグル・ベンチャーズやスウェーデンのEQTらもこのラウンドに参加した。今回の調達でNothingの調達総額は2億5000万ドルに達した。ペイは、会社の評価額についてコメントしなかったが、情報筋によると10億ドルを下回っているという。
「今日のアンドロイドのエコシステムを見れば、デザインセンスはほとんどなく、製品群にはアップルのエコシステムのようなエキサイティングさや独自性が欠けている」と、グーグル・ベンチャーズの欧州責任者のトム・ハルムはいう。「Nothingの製品はテクノロジー愛好家にアピールする。彼らは、若い世代を惹きつけることで、最先端を突き進んでいる」
しかし、Nothingは、ニッチな存在にとどまっている。2022年に同社は、Nothing Phone(1)とイヤホンを75万台販売し、年間2億ドルの収益を上げたが、同じ年にバンク・オブ・アメリカは、アップルのiPhoneの年間売上高を2050億ドルと推定した。今回の資金調達で、Nothingは新たな携帯電話とイヤホンを開発する予定だ。
「当社はこれまで、製品のエンジニアリングと出荷に集中するあまり、長期的なテクノロジーの差別化に投資する機会が無かったが、今回のラウンドでそれが可能になった」とペイはいう。