ヴェルサイユ宮殿自体が400年前から世界に開かれた存在だったということもありますが、私自身もその点を意識し、世界とのつながりを発展させることを大切にしています。
国の組織ではありますが、現在一緒に仕事をしているチームのモチベーションが高く、それにより新しいアイデアやチャレンジも皆さんが想像する以上にスピーディに進んでいます。
時間がかるのは、「改修工事」くらいです。
冒頭の話とも重なりますが、すべての来訪者を受け入れ、ヴェルサイユをより多くの方に知ってもらうこと。すべての分野においてヴェルサイユを輝かせること。その大きなミッションを遂行するべく、皆と一緒に日々奮闘しています。
──ジャーナリストとしてのご経験は、現在のお仕事にどのように活きていると感じますか?
活きてくれていると良いな、と願います(笑)。強い好奇心と、物事を理解しようとする力は、人生の大部分を費やしたジャーナリスト時代に培ったもので、宮殿の運営にも少なからず役に立っているはずです。
ヴェルサイユ宮殿では、毎日違うこと、予想外なこと、驚くことが次々と起こります。たとえるなら「終わらない工事現場」のような、他にはない唯一無二の場所。考えねばならないことも、新しいアイデアもどんどん湧いてきますし、毎日違う人にもお会いします。ヴェルサイユに来て12年になりますが、ここで働くことがいかに特別なことか、いまだに日々、実感しています。
──相当なプレッシャーのある役割だと思いますが、どのように向き合われていますか?
私の実感としては、ジャーナリスト時代に抱えていた締切に追われるプレッシャーと、組織のトップとしてのプレッシャーに違いはほとんどないように思います。プレッシャーは仕事の一部。それがあるほうが、前に進むエネルギーになるのではないでしょうか。