「脱成長」を掲げる街、パリに学ぶ。広告費ゼロでも大人気のスニーカー?


季節ごとに美しい景色を目指して移動する。ノマドレストラン「Ventrus」で心地よさを体感

美しい運河で人々を魅了する、パリのラ・ヴィレット公園。その公園の中には、一風変わったレストランが佇む。
Ventrus

実はこのレストラン、一週間で組立てや解体ができ、移動ができる設計。「眺めの良い場所にレストランをつくる」という考えによって、人々の感性を刺激し、風土やその土地の個性を意味するテロワールを大切にしているレストランなのだ。

このレストラン「Ventrus(ヴェントス)」は、何年も世界を旅した創業者のGuillaume Chupeauさんによってうまれたレストランだ。Guillaumeさんは、このレストランを3つの言葉で言い表す。

ロケボア(Locavore): 「地産地消」「ローカルフード」
慈悲深い(Bienveillant): 「思いやりのある」「環境に優しい」
遍歴的(Itinérant): 「移動式の」「巡回する」

「きれいな景色を見て、地域を想いながら五感を使って食べるレストランが、環境を汚す場所であってはならない」。Ventrusは、その明確なコンセプトに基づいている。
Ventrusがある、ラ・ヴィレット公園の前を流れる運河。自由に移動できるノマドレストランがこの場所を選んだのも頷ける景色 Photo by Erika Tomiyama

降り立った地域に根ざすVentrusは、地元の生産者から食材を仕入れており、パリ市内の都市農園でできた作物を味わうことができる。また、廃棄物ゼロのポリシーに基づき、食材をそのまま使用することへのこだわりも。

レストランで出た生ごみは堆肥化してパリ市内の農園で使用、エネルギーも独自に生産するなど、循環の仕組みを取り入れている。メニューは3週間毎に変わり、季節の食材が取り入れられているので、何度行っても楽しめるレストランだ。

Guillaumeさんは、この「ノマドレストラン」のアイデアを「クレイジーだ」と自身でも笑うが、その笑顔からはレストランを愛する気持ちが伝わってきた。「“心地よさ”や“美しさ”を追求した先にあったのが、サステナビリティだった」。綺麗な景色を見て心から美味しいと思える料理を食べながら、そんなメッセージを受け取った。
当日、お店のコンセプトを説明してくれた、創業者のGuillaume Chupeauさん

「広告費ゼロ」でも大人気。フランス発のサステナブルなスニーカー「VEJA」

パリの人々のファッションでよく見かけるのがスニーカーブランド「VEJA(ヴェジャ)」だ。驚くのは、広告費がゼロであるということ。

VEJAは、どのようにして消費者とコミュニケーションをとっているのだろうか。パリ10区にあるVEJAの新オフィスを訪問し、コーポレートコミュニケーションを担当するBruneとAliceの二人に話を聞いた。
VEJAシューズ。「V」のマークが目印。

VEJAは2005年以来、社会的プロジェクト、経済的公正性、エコロジーな素材をスローガンにスニーカーを作り続けている。スニーカーの素材には、ブラジルとペルーのオーガニックコットンやアマゾンのゴム、そしてリサイクルプラスチックボトルやリサイクルポリエステルから作られた素材を使用。そのすべてがフェアトレードだ。
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文=IDEAS FOR GOOD Editorial Team 写真=Masato Sezawa

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