「(大麻の使用が認められるのは)医療目的のみだ。法律を書き換える必要がある」9月に就任したタイのセーター・タウィーシン首相はこのほど、ブルームバーグテレビのインタビューでそう明言した。
所属するタイ貢献党は5月の総選挙で麻薬対策の強化を公約に掲げていた。セーターは大麻について「(使用目的の医療への限定を)政府の方針にすることは連立を組む11党すべてで合意されている。このところ薬物問題が広がっているからだ」とも述べた。娯楽目的での使用は認めない考えを示した。
タイは2018年に医療目的での大麻の使用を合法化し、2022年6月には一部大麻製品の個人使用なども合法化された。
現在の法令では、個人は精神活性成分のテトラヒドロカンナビノール(THC)含有量が0.2%未満の大麻製品を消費できるが、公共スペースでの使用はできない。大麻を自宅で栽培することも認められているが、そのためには事前に地元当局に届け出る必要がある。業者もタイ食品医薬品局(FDA)に登録すれば大麻を栽培できる。
ただ、大麻の栽培や販売に関する規制はまったく実施されていない。規制上のこの空白によって、タイ各地に販売店が続々と立ち上がり、予想していなかったようなかたちで大麻産業が成長している。
タイの大麻ショップが一覧できるウェブサイト「Weed.th」によると、国内には今や大麻ショップが6000店近くあり、活況を呈している。多数の大麻製品が販売されており、東南アジアのほかの国からも観光客を大勢引き寄せている。
地元紙バンコク・ポストはタイ商工会議所大学(UTCC)の最新の調査として、タイの大麻市場規模は2025年には約430億バーツ(約1700億円)に達すると報じている。