アジア

2023.10.03 12:00

タイ新政権「大麻解禁」の見直し検討 娯楽使用の拡大を問題視

セーター政権が大麻の非犯罪化を撤回し、医療目的での使用のみを認めると決めた場合、現在の状況は決定的にストップがかかる可能性がある。ただ、政府が今後どのような措置を講じるつもりなのか、正確なところははっきりしない。

連立政権内では、前政権で保健相として大麻の非犯罪化を支持したアヌティン・チャンウィラクーン副首相兼内相が、大麻を再び麻薬に指定することに反対している。アヌーティンは、娯楽目的の大麻の規制を強化する新法案を国会に提出したい考えだという。

国連薬物犯罪事務所(UNODC)によると、東南アジアの違法な薬物取引の「市場」規模は1300億ドル(約19兆円)に達すると推定されている。タイは域内で最大の麻薬中継拠点と見なされており、タイ社会から薬物を根絶するというセーターの公約はこうしたより広範な闇経済を取り締まることをめざしている。

大麻を非犯罪化したタイは、薬物政策に関してアジアでユニークな国になっている。アジアには大麻関連の罪で死刑を科す国がいくつかある。その1つであるシンガポールは先ごろ、大麻を密輸したとして男性の死刑を執行し、国際的な非難を招いている。

タイ政府が大麻を再び麻薬に分類すると、娯楽目的の使用は地下に隠れて管理がさらに行き届かなくなりかねず、タイにとって有望な産業の見通しも曇るおそれがある。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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